拾いきれなかったお骨はどこへ行く?残骨灰のゆくえを、お骨を預かる側から考える
お骨上げで骨壺に入りきらなかったお骨が、台の上に残る。
残りは斎場で納めますと言われ、そのまま帰ってきた。
あとになって、あのお骨はどこへ行ったのだろうと気になった方もいると思います。
株式会社goennの𫝆橋計貴(いまはし かずき)です。
goennでは、ご家族からご遺骨をお預かりし、提携する寺院と一緒に供養を続けています。
骨壺に入らなかったお骨や灰は「残骨灰(ざんこつばい)」と呼ばれ、業者による処理や墓地での保管、寺院での供養などが行われています。
この記事では、そのゆくえと、家族にできることをお話しします。
【この記事の結論】拾いきれなかったお骨のゆくえがわかる5つのポイント
- 調査では業者への委託が多く、行き先は墓地での保管や寺院での供養などです。
- 残骨灰の扱いには法律の明確な定めがなく、売却も供養も自治体ごとに違います。
- 金属を売る自治体でも、残ったお骨を供養地や斎場内の施設に納める例があります。
- 持ち帰る量を選べる火葬場があり、宇都宮市では希望を火葬の前日までに連絡します。
- 拾わなかったお骨は後から返してもらえないことがあるので、火葬の前に確かめます。
残骨灰とは?収骨で拾いきれなかったお骨はどうなるのか
残骨灰は、骨壺に入らなかったお骨と灰や金属が混ざったもの
残骨灰は、火葬して家族がお骨を拾ったあとに残る骨や灰をまとめた呼び方です。
お骨を拾うことを、お骨上げ(収骨)といいます。
さいたま市の説明によると、残骨灰には骨のかけらのほか、棺や副葬品の燃え残り、歯の治療に使われた金・銀・パラジウムなどが含まれます。
ダイオキシン類や六価クロムといった有害物質が付いていることもあります。
お骨と金属と有害物質が混ざっているので、扱いが難しいのです。
東日本は全部、西日本は一部を拾う。残る量は地域で違う
高知市斎場の案内では、できるだけ多くのお骨を骨壺に入れる「全収骨」は東日本に多く、主なお骨を選んで入れる「部分収骨」は関西など西日本に多いとされています。
部分収骨では、骨壺に入らないお骨がはっきり残ります。
西日本で火葬に立ち会い、思ったより多く残って驚いた方もいるはずです。
全部を拾う地域でも、細かな骨や灰は残ります。
多くの火葬場では専門業者に任せ、供養地に納めている
厚生労働省の研究費で2023年度に行われた火葬場へのアンケートでは、全国の残骨灰の扱いが調べられました。
回答した354施設のうち271施設が、処理を業者に任せていました。
任せたあとの行き先は「民間墓地で保管」が最も多く、「お寺、供養施設等で供養」が続きます。
ただし、「廃棄」と答えた施設もありました。
残骨灰の扱いに法律の決まりはない。売却も供養も自治体ごとに違う
墓地埋葬法に定めがなく、自治体の判断に任されている
埋葬や火葬のルールを決めている墓地埋葬法には、残骨灰の扱いを直接定めた明確な規定がありません。
公営の火葬場では、扱いは自治体の判断に任されています。
大分市の資料によると、残骨灰の所有権は、収骨の前は遺族にあり、収骨の後は市町村に移るとされています(1939年の大審院判決)。
国は2023年3月の国会への答弁書で、火葬場を対象に扱いを調べるとしていました。
金や銀を売る自治体が増えている。京都市は1年で約3億5,000万円
2026年1月の川崎市の資料では、全国20の政令指定都市のうち17市が残骨灰の金属などを売却しています。
京都市の発表(2026年3月)では、2025年度の売却額は約3億5,000万円でした。
対象は2024年10月〜2025年9月の火葬分に、過去の収蔵分の一部を加えたものです。
さいたま市も2024年度、火葬1万3,128件分の残骨灰を売り渡し、約9,200万円を得ています。
売ったお金は、斎場の修繕などに使われています。
売っても「残ったお骨は供養する」を条件にする自治体が多い
さいたま市では、売却の条件として残ったお骨の埋蔵と供養を求めています。
京都市のように、金属を取り出したあとのお骨を斎場内に収蔵する自治体もあります。
| 自治体 | 残ったお骨のゆくえ | 金属などの扱い |
|---|---|---|
| 京都市 | 斎場の敷地内にある専用の施設に収蔵 | 取り出した貴金属を売却 |
| さいたま市 | 業者が提携する霊園に埋蔵し供養 | 残骨灰ごと業者に売り渡し |
| 西宮市 | 茨木市の霊園に埋葬し、年1回の供養祭 | 2025年度から収益化 |
| 宇都宮市 | 金属などを分けたあと埋葬・供養 | 2026年4月から売り渡し |
宇都宮市の2024年度の世論調査では、売却に「賛成」「どちらかというと賛成」と答えた人が合わせて8割近くいました。
一方で、売却している自治体があることを「知らなかった」人も8割を超えています。
この調査では、売却に賛成する人が多い一方、売却の実態はあまり知られていませんでした。
拾いきれなかったお骨が気になる人へ。全部持ち帰る・火葬場に確かめる方法
火葬場によっては、持ち帰るお骨の量を選べる
愛知県の瀬戸市斎苑では、持ち帰る量を「全部引き取る」「一部引き取る」「全部引き取らない」の3つから選び、親族の同意を得て確認書を出します。
高知市斎場も、全収骨か部分収骨かを火葬の日までに家族で決めるよう案内しています。
気をつけたいのは、あとからは取り戻せないことです。
瀬戸市斎苑は、引き取られなかったお骨をほかの方のお骨とまとめて保管するため、「後から引き取りの申し出があってもお渡しできません」としています。
迷っているなら、火葬の前に決めておくほうが後悔は少ないと私は思います。
希望は火葬の前日までに。葬儀社と火葬場に聞いておきたいこと
宇都宮市は、「残骨灰の持ち帰りを希望する」といった要望を、火葬の前日までに斎場へ連絡するよう案内しています。
火葬場とのやり取りは葬儀社が間に入ることが多いので、まず葬儀社に伝えてください。
聞いておきたいのは、次の4つです。
- 収骨は全部か一部か、選べるか
- 残ったお骨や灰はどこに納められ、供養はあるか
- 残骨灰を持ち帰ることはできるか
- 残骨灰の中の金属を売っているか
先ほどのアンケートでは、遺族への説明は「希望があれば説明している」が最も多く、「説明していない」が次でした。
聞かなければ説明がないこともあるので、遠慮はいりません。
全部持ち帰るなら、骨壺の大きさとその後の納め先も考えておく
高知市斎場の案内では、全収骨にはおおむね6〜7寸(1寸は約3cm)の大きな骨壺が要ります。
納骨堂やお墓によっては納められる大きさに限りがあるので、納め先が決まっているなら管理者に確かめておくと安心です。
家に置く場所がなければ、一部を別の場所に納める分骨という方法もあります(分骨のやり方と必要書類)。
お骨を預かる側から考える残骨灰。「拾えなかった」と自分を責めなくていい
骨壺に入らなかったお骨も、供養の対象として扱われている
部分収骨の地域では、拾えなかったお骨のことを、故人に悪かったと気にする方がいます。
私は、そこまで自分を責めなくていいと考えています。
京都市は残骨灰を「宗教的感情及び故人の尊厳の対象として丁重に取り扱うため」に、斎場の中の施設に収めています。
大分市は、処理の基準で「遺族等が参拝できる埋蔵地」と供養塔を設けるよう定めています。
骨壺に入らなかった分も、手を合わせる先として扱われているのです。
それでも「廃棄」と答えた火葬場がある以上、気になるなら前の章の4つを聞いてみてください。
預かるお骨は「つながりそのもの」。goennが寺院と供養を続ける理由
2026年6月に納骨・預骨サービスの正式リリースを発表したとき、私はこうコメントしました。
ご遺骨は単に保管したり、どこかへ移したりすればよいものではありません。大切な家族であり、故人やご先祖とのつながりそのものです。
これは骨壺に入らなかったお骨にも当てはまると思っています。
goennでは提携する寺院と一緒に、お預かりしたご遺骨を法要や読経で供養し、自治体で引き取り手のなかったご遺骨も受け入れています。
持ち帰ったお骨の納め先がすぐに決まらないときは、goennが運営するタグル(taguru)に納骨や預骨をお任せいただく方法もあります。
専用のキットでご遺骨を送る「おくるだけ」と、ご自宅などへお迎えに伺う「おむかえ」の2つがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 残骨灰を家族が受け取ることはできますか?
火葬場によって違います。
宇都宮市では前日までの連絡を案内していますが、対応や期限は施設ごとに確認が必要です。
葬儀社を通じて、火葬の前に確かめてください。
Q. 残骨灰を売るのは違法ではないのですか?
残骨灰の扱いには法律の明確な定めがなく、公営の火葬場では自治体が判断しています。
大分市は1939年の大審院判決を挙げ、収骨後の所有権は市町村に移ると説明しています。
法律の解釈で迷うときは、弁護士などに相談してください。
Q. 関西で「全部拾いたい」とお願いしてもいいですか?
お願いしてかまいません。
部分収骨が多い西日本でも、高知市斎場のように家族が収骨の方法を選べる火葬場があります。
大きめの骨壺が要るので、早めに葬儀社に伝えてください。
Q. 自分の家族の残骨灰がどこに納められたか知る方法はありますか?
火葬した自治体の公式ページを見てください。
さいたま市や宇都宮市、西宮市は、納め先の霊園の名前を公開しています。
載っていなければ、斎場か自治体の担当課に問い合わせます。
まとめ
骨壺に入らなかったお骨は「残骨灰」と呼ばれ、墓地での保管や寺院での供養など、扱いは火葬場によって違います。
気になる方は、火葬の前に「全部持ち帰れるか」「残りはどこに納められるか」を葬儀社と火葬場に聞いてください。
拾えたかどうかより、その後どこで手を合わせられるか。
お骨を預かる側として、そちらに目を向けてもらえたらと思っています。
持ち帰ったお骨の納め先を探すときは、goennのお墓検索で地域や種類から比べられます。
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