冬の葬儀に高齢の親と参列するとき、服装より先に考えておきたいこと

2026.11.06
2026.11.06
雪の残るお寺へ、高齢の母の腕を支えて歩く息子の後ろ姿

冬に、親のきょうだいや古い友人の訃報が届くことがあります。
寒いなか、足腰の弱った親を連れて行って大丈夫だろうか。
「無理しなくていいよ」と言ったほうがいいのか、と迷う方も多いと思います。

株式会社goennで、お墓や供養の相談を受けながら、お寺や葬儀社とやり取りしている𫝆橋計貴(いまはし かずき)です。
冬の葬儀で先に考えたいのは、服装より、会場の寒さと設備です。
そして、「行かなくていい」と言う前に、まず親に知らせることです。
この記事では、この2つと、長くいられないときの参加のしかたをお話しし、最後に服装にも触れます。

【この記事の結論】冬の葬儀に高齢の親と参列するときの準備がわかる5つのポイント

  • 斎場は暖かいことが多いものの、お寺の葬儀は底冷えする前提で備えます。
  • 椅子、介助できるトイレ、休める部屋があるかを先に聞いておきます。
  • 「行かなくていい」と言う前に、まず親本人に訃報を知らせます。
  • 長くいられないなら、代わりに行くか、短い時間だけ顔を出します。
  • 服装は決まりより防寒を優先し、足元は滑りにくい靴にします。

この記事の目次

冬の葬儀に高齢の親と参列する前に、会場の寒さ・椅子・トイレを確かめる

斎場は暖かいことが多い。お寺の葬儀は底冷えする前提で

私の実感では、今はお寺より葬儀社の斎場で葬儀をすることが多く、斎場は暖房もしっかりしています。
私が聞いている範囲でも、参列中に高齢の方が体調を崩したという話は、今のところ耳にしません。

気をつけたいのは、お寺の本堂で葬儀をする場合です。
お寺は底冷えするものと思って、防寒をしっかり用意しておくと安心です。
社会福祉士で葬儀の実務にも詳しい吉川美津子さんも、葬儀式場は暖房が完備された場所ばかりではないと書いています。

もう一つ気にしたいのが温度差です。
暖かい部屋から寒い場所へ移ると血圧が大きく変動し、失神や心臓の病気につながることがあります(神戸市「ヒートショック対策」)。
葬儀でも、暖かい式場から冷えた廊下やトイレ、屋外の見送りへ移動することがあります。

椅子・トイレ・休める部屋があるかを先に聞いておく

高齢の参列者には、足腰の悪い方が意外と多いものです。
椅子にきちんと座れるか、立ち座りに手助けがいるかまで考えておきたいところです。
お寺には椅子がないこともあるので、小さな腰掛けのようなものを借りられるか聞いておくと楽になります。

介助が必要な親なら、トイレと休む場所も確かめてください。
特にお寺は、介助できるトイレや、ひとりで休める部屋がないことがあります。

確かめること見ておきたい点
座る場所椅子席か、腰掛けを借りられるか
トイレ介助できる広さか、車椅子で入れるか
休める部屋横になれる控室があるか
入口まわり段差がないか、車をどこまで寄せられるか

設備は施設ごとに違うので、斎場だからと決めつけないほうが安全です。
喪主側は忙しいので、斎場の名前を聞いて直接電話するほうが早いこともあります。

出棺の見送りや火葬場への移動、待ち時間も負担になる

告別式のあとも、屋外での出棺の見送り、火葬場への移動、火葬とお骨上げの待ち時間と続きます。
倉敷市中央斎場の利用案内では、霊柩車が着いてから収骨が終わるまで約1時間45分を見込んでいます。
火葬場まで行くのは多くの場合、身内やごく親しい人なので、高齢の親は出棺を見送って先に帰る、という選び方もあります。

高齢の親に「行かなくていい」と言う前に、まず訃報を知らせる

お葬式は、社会とその人がお別れする場でもある

寒いし、足腰も悪いから、無理して行かなくていいよ、と言ってあげたい。
その気づかいは自然なものです。

ただ、私たちは、お葬式を社会的な死の証明のような場でもあると考えています。
社会と、亡くなったその人がどうお別れするか、をするのが葬儀です。
だからこそ、行くか行かないかを子どもの側だけで決めず、まず親本人に訃報を知らせてあげてください。

知らせなかったことが、あとで家族のトラブルになることもある

最近は家族葬が増え、全部終わってから知らせる話もよく聞きます。
鎌倉新書の第7回お葬式に関する全国調査(2026年)では、家族葬が47.0%でいちばん多く、喪主が困ったことには「訃報連絡をする相手・範囲がわからない」も挙がっています。

ところが、故人と仲のよかった人が、それで納得するとは限りません。
ひと言ありがとうと言いたかった、一目でいいから顔を見たかった、という声は本当によく聞きます。
あとで家族のあいだで、なんで言ってくれなかったのか、ともめるケースも意外とあります。
マネーポストWEBの家族葬のトラブルを取り上げた記事も、知らせがなかったと怒るのは、故人との思い出が深かった人ではないかと書いています。

高齢の親にとって、亡くなったのは思い出の深い相手かもしれません。
黙っておくより、知らせたうえで、どう参加するかを一緒に決めるほうがいいと私は思っています。
きちんとお別れできなかった後悔については、直葬で後悔した人の声でも取り上げています。

長くいられない高齢の親は、代わりに行く・短い時間だけ顔を出すという参列の形もある

足腰が心配なら「私が代わりに行ってくるね」と相談する

足腰がどうしても心配なら、子どもが代わりに行く方法があります。
「私が代わりに行ってくるね」と、相談の形で切り出してみてください。
決めつけず、親に選んでもらうのがポイントです。

代わりに行くときは、親から香典やお悔やみの言葉を預かっていきます。
行ける人がいなければ、弔電でもかまいません。
週刊女性PRIMEのお葬式マナーの記事には、高齢の親に代わって、お悔やみと伺えないお詫びを伝える弔電の文例が載っています。

一目会いたいなら、短い時間だけ顔を出す

親がどうしても一目顔を見たいと言うなら、短い時間だけ顔を出すのも一つのやり方です。
宗教者が入って営む儀式そのものには、最後までいなくてもいいと私は考えています。

  • 通夜か告別式の、どちらか片方だけに出る
  • 焼香を済ませたら、遺族か受付にあいさつして先に失礼する
  • 式のあいだは控室で休ませてもらい(できるかは斎場に相談)、お別れの時間に顔を出す

「親が高齢なので、焼香だけで失礼するかもしれません」と前もって伝えておけば、遺族も段取りを考えやすくなります。

式に出なくても、花を手向けて「ありがとう」を言う機会をつくる

葬儀に出られなくても、お花を手向けたり、ありがとうと声をかけたりする機会はつくってあげてほしいと思っています。
出棺前の「別れ花」では棺に花を入れますが、参加できるかは遺族や葬儀社に相談してください。
間に合わなかったときは、遺族の都合を聞いて、後日弔問させてもらう方法もあります。
大事なのは、形ではなく、想いが届くかどうかです。

冬の葬儀の服装は、高齢の親なら防寒を優先していい

喪服の下に重ね着を。コートは会場に入る直前まで着ていていい

ここまでの話に比べると、服装で困ることはそれほどありません。
寒さを我慢してまでマナーに合わせなくていい、というのが私の考えです。

吉川さんは、喪服が薄くて寒ければ下に肌着やセーターを重ねてよく、冬用のブラックスーツなど地味な服でもかまわないとしています。
屋外のお葬式では、早く薄着になると具合が悪くなる人もいるので、受付で上着を脱がなくてもいいそうです。

コートは黒やグレーなどの暗い色が無難です。
ダウンは避けたほうがいいとされますが、極寒の日は着て行き、入口で脱いで預ければよいとするマナー解説もあります(Oggi.jp)。

足元は滑りにくく暖かい靴で。カイロやひざ掛けも持っていく

足元は、見た目より安全を優先してください。
吉川さんによれば、高齢の方は足元が冷えないよう、足首まで覆う靴を履いている方も多いそうです。

東京消防庁によると、毎年12月から3月には、積雪や凍結した路面で滑って転ぶ事故が起きています。
過去5年間のこの時期に、管内だけで801人が救急搬送されました(東京消防庁「積雪や凍結路面に係る救急事故に注意しよう」)。
雪がやんだあとの数日間も事故が多いので、駐車場から入口までも、ゆっくり歩くよう声をかけてください。

持ち物は、次のようなものがあると安心です。

  • 貼るカイロ
  • 黒や紺など地味な色のひざ掛け
  • 常備薬と飲み物

よくある質問(FAQ)

Q. 高齢の親を冬の葬儀に連れて行くか迷ったら、どう決めればいいですか?

まず親本人に訃報を知らせ、気持ちを聞いてから決めるのがいいと思います。
全部に出るのが難しければ、代わりに行く、焼香だけで失礼する、といった形を一緒に選んでください。

Q. 冬の葬儀にダウンコートを着て行ってもいいですか?

寒さの厳しい日なら、着て行ってかまいません。
会場の入口で脱いで預ける方法が紹介されています(Oggi.jp)。

Q. 親の代わりに参列するとき、香典と記帳はどうすればいいですか?

親から預かった香典を持って行き、受付で親の代わりに来たことを伝えます。
代理の記帳例では、本人の名前の横に代理人の氏名を書き、その下に「(代)」を添えます(Oggi.jp)。
迷ったら受付の方に聞いてみてください。

Q. 「家族葬なので」と言われたら、高齢の親は参列を控えたほうがいいですか?

近親者のみでと案内されたら、控えるのが基本です。
どうしてもお別れしたいときは、理由を伝えて遺族の了承をもらうか、後日の弔問ができるか聞いてみてください。

まとめ

冬の葬儀に高齢の親と参列するとき、先に考えたいのは服装より、会場の寒さと設備です。
お寺は底冷えする前提で備え、椅子やトイレ、休める部屋を聞いておきます。

そして、行かなくていいと言う前に、まず親に知らせてください。
全部に出られなくても、代わりに行く、短い時間だけ顔を出す、花を手向けるなど、参加の形は選べます。
服装は、防寒を優先してかまいません。

迷ったら、喪主側のご家族か斎場に一言相談してみてください。
親の体も、お別れしたい気持ちも、どちらも置き去りにしない段取りを一緒に考えてあげてください。

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