送骨・預骨
分骨とはどういう意味?やり方・必要書類・宗派の考え方まで網羅
「分骨って、そもそもどういうこと?」「やってみたいけど、手続きが難しそう…」「宗教的に問題はないの?」
大切なご家族を亡くされた方から、こうしたご相談をいただくことが本当に多くなりました。
遠方に暮らすご家族がそれぞれの場所でお参りしたい、手元にご遺骨の一部を置いて故人を偲びたい。
そんな想いから、分骨を検討される方が増えています。
この記事では、分骨の意味から具体的なやり方、必要書類、費用相場、各宗派の考え方、そして分骨後の供養方法まで、初めての方にもわかるように丁寧にお伝えします。
読み終えるころには、分骨に対する不安がきっと軽くなっているはずです。
【この記事の結論】分骨とは?やり方と3つのポイント
- 分骨は法律で認められた正当な供養:
「縁起が悪い」などの宗教的根拠はなく、お釈迦様のご遺骨も分骨されています。 - タイミングは「火葬時」がおすすめ:
事前に葬儀社へ伝えれば、1万円以内の費用でスムーズに行えます。
納骨後の場合は石材店への依頼が必要で、7万〜15万円程度かかります。 - 「分骨証明書」が必須になるケース:
分骨したご遺骨を別のお墓や納骨堂に納める場合は証明書が必要です(手元供養のみなら不要)。

分骨とは?意味と選ばれる理由をわかりやすく解説
分骨の意味と定義
分骨(ぶんこつ)とは、故人のご遺骨を2ヵ所以上に分けて埋葬・供養することです。
「遺骨を分けるなんて、大丈夫なの?」と心配される方もいらっしゃいますが、分骨は「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条に規定された、法律で認められた行為です。
同規則では、墓地の管理者が分骨を希望する方に対して証明書を交付する義務があると定められています。
つまり、分骨は決して特別なことでも、後ろめたいことでもありません。
古くから日本で行われてきた、れっきとした供養の形なのです。
分骨が選ばれる主な理由
分骨を選ばれる背景には、さまざまな事情があります。
- 離れて暮らすご家族がそれぞれの場所でお参りしたい
- ご遺骨の一部を手元に置いて、日常的に故人を偲びたい(手元供養)
- 浄土真宗の慣習として、本山(西本願寺・東本願寺)に分骨を納めたい
- 墓じまいをきっかけに、一部のご遺骨を別の場所で供養したい
- お墓が遠方にあり、頻繁にお参りできないため近くにも供養の場を設けたい
どの理由にも共通しているのは、「故人をもっと身近に感じたい」「大切にお参りしたい」という温かい気持ちです。
分骨のやり方は?タイミング別の具体的な手順
分骨を行うタイミングは、大きく分けて「火葬時(納骨前)」と「納骨後」の2つがあります。
それぞれ手順が異なりますので、順番にご説明します。
火葬時(納骨前)に分骨する場合の手順
火葬当日に分骨する方法は、最もスムーズで費用も抑えられます。
- 1. 葬儀社に分骨の希望を事前に伝える
- 2. 分骨用の骨壷を必要な数だけ用意する(葬儀社に相談すれば手配してもらえます)
- 3. 火葬場のスタッフにも分骨の旨を伝える
- 4. 火葬後の「骨上げ(こつあげ)」の際に、ご遺骨を複数の骨壷に分けて納める
- 5. 火葬場で分骨証明書の発行を依頼する
ポイントは、事前の連絡です。
火葬当日にいきなり「分骨したい」と申し出ると対応が難しい場合もありますので、葬儀の打ち合わせ段階で葬儀社に伝えておきましょう。
納骨後にお墓から分骨する場合の手順
すでにお墓に納骨されたご遺骨を分骨する場合は、もう少し手順が増えます。
- 1. ご家族・ご親族と話し合い、分骨について合意を得る
- 2. 墓地の管理者(霊園の管理事務所、または寺院の住職)に分骨の意向を伝える
- 3. 墓地管理者から分骨証明書を発行してもらう
- 4. 石材店にカロート(納骨室)の開閉を依頼する
- 5. 必要に応じて、僧侶に閉眼供養(魂抜き)を依頼する
- 6. ご遺骨を取り出し、分骨用の骨壷に納める
- 7. 再びカロートを閉じ、必要であれば開眼供養(魂入れ)を行う
火葬時と比べると手続きが多く、石材店への依頼費用なども発生します。
分骨を検討されている方は、可能であれば火葬時のタイミングで行うのがおすすめです。
分骨は自分で行える?専門家への依頼が必要なケース
火葬時の分骨であれば、火葬場スタッフの案内のもと、ご自身で行えます。
特別な資格は必要ありません。
一方、納骨後の分骨では、お墓のカロート(納骨室)を開ける作業が発生します。
カロートの蓋は非常に重く、素人が動かすのは危険です。
石材店に依頼するのが安全であり、マナーとしても適切です。
分骨に必要な書類と手続きの流れ
分骨証明書とは?発行方法と取得先
分骨の手続きで最も重要な書類が分骨証明書です。
分骨証明書とは、分骨したご遺骨が間違いなくその故人のものであることを公的に証明する書類のこと。
分骨したご遺骨を別のお墓や納骨堂に納める際に必要となります。
分骨証明書には、故人のお名前・没年月日・火葬場所・分骨の事実・発行者の署名と押印などが記載されます。
なお、特定の決まった様式はなく、発行元によって書式が異なります。
発行先はタイミングによって異なります。
| タイミング | 発行先 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 火葬時 | 火葬場(火葬証明書・分骨用) | 1通あたり100〜300円程度 |
| 納骨後(公営墓地) | 自治体の窓口 | 約300円 |
| 納骨後(民営墓地) | 墓地の管理事務所 | 数百円〜数千円 |
| 納骨後(寺院墓地) | 寺院の住職 | 数百円〜数千円 |
なお、分骨したご遺骨をご自宅で手元供養するだけであれば、分骨証明書は必要ありません。
証明書が求められるのは、分骨先の墓地や納骨堂に「納骨する」場合です。
タイミング別に必要な書類一覧
| 必要書類 | 火葬時の分骨 | 納骨後の分骨 |
|---|---|---|
| 分骨証明書(または火葬証明書・分骨用) | 必要 | 必要 |
| 分骨証明書の発行依頼書・申請書 | 必要 | 必要 |
| 身分証明書 | 場合による | 必要 |
| 埋葬許可証 | 不要 | 場合による |
書類の名称や手続きの流れは自治体や墓地によって異なりますので、事前に管理者へ確認しておくと安心です。
法律の詳細については厚生労働省の「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」に規定されています。
分骨にかかる費用の相場はどれくらい?
「分骨にはいくらかかるの?」というご質問もよくいただきます。
タイミングによって費用感が大きく変わりますので、それぞれ整理してみましょう。
火葬時に分骨する場合の費用
火葬時の分骨は、費用面でも負担が少ないのが特徴です。
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| 分骨証明書の発行手数料 | 100〜300円程度 |
| 分骨用の骨壷 | 数千円〜3万円程度 |
骨壷のデザインや素材にこだわらなければ、数千円程度で収まります。
合計でも1万円以内に収まるケースがほとんどです。
納骨後に分骨する場合の費用
すでにお墓に納骨されているご遺骨を分骨する場合は、追加の費用が発生します。
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| 分骨証明書の発行手数料 | 数百円〜数千円 |
| 石材店への依頼費用(カロート開閉) | 2万〜3万円 |
| 閉眼供養(魂抜き)のお布施 | 3万〜10万円程度 |
| 分骨用の骨壷 | 5,000〜1万円程度 |
トータルでは7万〜15万円程度が目安です。
さらに、分骨先で新しいお墓や納骨堂を利用する場合は、その費用も別途かかります。
「分骨は良くない」は本当?よくある誤解と真実
分骨について調べると、「分骨は縁起が悪い」「良くないことだ」という情報を目にすることがあるかもしれません。
結論からお伝えすると、これは誤解です。
「魂が分かれてしまう」という誤解の真相
「遺骨を分けると魂が引き裂かれる」「成仏できなくなる」。こうした話を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、仏教の教えでは、ご遺骨に魂が宿っているという考え方はありません。
多くの宗派では、四十九日を過ぎると魂はご遺骨を離れるとされています。
ご遺骨は故人がこの世に生きた証ではありますが、魂そのものではないのです。
「魂が分かれる」「五体満足で生まれ変われない」といった話には、宗教的な根拠はありません。
安心してください。
お釈迦様の遺骨も分骨されている歴史的事実
実は、仏教の開祖であるお釈迦様のご遺骨(仏舎利)も、入滅後に周辺の8つの国に分骨されたと伝えられています。
分骨された仏舎利はインド各地で祀られ、やがて世界中に広がりました。
分骨はむしろ、仏教の長い歴史の中で尊い行為として受け継がれてきたものです。
この事実を知るだけでも、分骨への不安はずいぶんと和らぐのではないかと思います。
宗派別に見る分骨の考え方と作法
浄土真宗では分骨が一般的な慣習
日本の仏教宗派の中でも、特に浄土真宗は分骨と深いつながりがあります。
浄土真宗では、宗祖・親鸞聖人の御廟にご遺骨の一部を納める「本山納骨」という伝統的な慣習があるのです。
- 浄土真宗本願寺派(お西)の場合は、京都の大谷本廟(おおたにほんびょう)に納骨します
- 真宗大谷派(お東)の場合は、京都の大谷祖廟(おおたにそびょう)に納骨します
一般的には、喉仏(のどぼとけ)の骨を本山に納め、残りのご遺骨をご家族のお墓に納めるという形が多く見られます。
本山納骨の手続きは、菩提寺(お付き合いのあるお寺)を通じて行うのが基本です。
直接本山に申し込むのではなく、まずは菩提寺にご相談ください。
納骨の種類や費用の詳細は、大谷本廟の公式サイトや真宗大谷派(東本願寺)の公式案内ページで確認できます。
その他の仏教宗派(真言宗・曹洞宗・日蓮宗など)の考え方
真言宗、曹洞宗、日蓮宗、臨済宗、天台宗など、主要な仏教宗派に分骨を禁じる教えはありません。
ただし、お寺の方針や住職のお考えによって対応が異なることもあります。
分骨を検討される際は、まず菩提寺にご相談されることをおすすめします。
きっと丁寧にアドバイスしていただけるはずです。
神道・キリスト教における分骨の考え方
神道にも、分骨を禁じる教えはありません。
キリスト教においても、聖人の遺骨を分けて各地で祀る「聖遺物(せいいぶつ)」の文化が古くからあり、分骨自体を否定する考え方はありません。
ただし、カトリックでは散骨や一部の手元供養の形態を認めていない場合がありますので、所属する教会に事前に確認しておくと安心です。
分骨したご遺骨の供養方法と選択肢
分骨した後のご遺骨をどのように供養するか。
選択肢はいくつかありますので、ご家族の状況やお気持ちに合った方法を選んでいただければと思います。
手元供養で故人を身近に感じる
手元供養とは、ご遺骨の一部をご自宅や身近な場所に置いて供養する方法です。
近年、特に人気が高まっています。
- ミニ骨壷に納めて、お仏壇や小さな祈りのスペースに安置する
- 遺骨アクセサリー(ペンダントやブレスレットなど)に少量のご遺骨を入れて身につける
- 遺骨プレートやオブジェに加工して、インテリアとして飾る
手元供養であれば、特別な許可や分骨証明書は必要ありません。
「いつでも故人のそばにいたい」という方にとって、心の支えになる供養の形です。
関連記事: 「そばにいたい」を叶える手元供養|後悔しない選び方と知っておきたい注意点
永代供養・納骨堂・樹木葬に納める
お墓の維持管理が難しい場合や、後継者がいらっしゃらない場合は、分骨したご遺骨を永代供養墓、納骨堂、樹木葬に納めるという選択肢もあります。
- 永代供養墓は、寺院や霊園が長期的に供養と管理を行ってくれます
- 納骨堂は屋内施設で、天候を気にせずお参りできるのが利点です
- 樹木葬は、墓石の代わりに樹木をシンボルとする自然志向の埋葬方法です
いずれの場合も、納骨には分骨証明書の提出が必要ですので、忘れずに準備しておきましょう。
関連記事: 永代供養の費用相場はいくら?種類別の料金目安と内訳を解説
海洋散骨など自然に還す方法
「自然に還りたい」という故人のご意思がある場合は、海洋散骨や山林散骨も選択肢の一つです。
散骨を行う際は、ご遺骨をパウダー状に粉砕(粉骨)する必要があります。
また、散骨できる場所には制限がありますので、専門の業者に依頼するのが一般的です。
自治体によっては条例で散骨を規制しているケースもありますので、事前確認を忘れないようにしてください。
分骨で家族間トラブルを避けるための注意点
親族間の合意を得ることが最も大切
葬祭カウンセラーとして多くのご相談を受ける中で、最も大切だと感じるのがご親族間の合意形成です。
分骨の手続き自体は、法律上は「祭祀継承者」(お墓の管理を引き継いだ方)が行えます。
しかし、ご遺骨は故人を偲ぶすべてのご家族にとって大切なもの。
一人で決めてしまうと、後からトラブルになるケースも少なくありません。
分骨を検討される際は、まずご家族・ご親族としっかり話し合い、全員が納得した上で進めてください。
「なぜ分骨したいのか」「分骨したご遺骨をどこで供養するのか」を丁寧に説明することが、円満な分骨への第一歩です。
分骨証明書の紛失に注意
分骨証明書は、分骨したご遺骨を別の墓地に納骨する際に必ず必要となる大切な書類です。
紛失してしまうと、再発行の手続きに時間と手間がかかります。
再発行は発行元(火葬場、霊園、市区町村役場など)で対応してもらえますが、必要書類や手続きは発行元によって異なります。
紛失に気づいたら、早めに問い合わせることをおすすめします。
分骨証明書は、ご遺骨と一緒に大切に保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q: 分骨は法律的に問題ありませんか?
分骨は「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条に規定された、合法的な行為です。
墓地の管理者には、分骨を希望する方への証明書交付が義務づけられています。
法律的な問題は一切ありませんので、ご安心ください。
Q: 分骨した遺骨を手元に置くのに許可は必要ですか?
ご自宅で手元供養するだけであれば、分骨証明書は不要です。
分骨証明書が求められるのは、分骨したご遺骨を別の墓地や納骨堂に納骨する場合に限られます。
Q: 分骨は火葬当日でなくても後からできますか?
はい、納骨後でも分骨は可能です。
ただし、お墓のカロートの開閉に石材店の協力が必要になるなど、手順と費用が増える点にはご注意ください。
可能であれば、火葬時に分骨しておくのが最もスムーズです。
Q: 分骨証明書を紛失した場合はどうすればいいですか?
発行元(火葬場、霊園、市区町村役場など)に再発行を依頼できます。
必要な書類や手続きは発行元によって異なりますので、気づいた時点で早めにお問い合わせください。
Q: 一度分骨した遺骨を元のお墓に戻すことはできますか?
可能です。
分骨先の墓地管理者から改めて「分骨証明書」を発行してもらい、元のお墓の管理者に提出する手続きが必要となります。
Q: 浄土真宗以外の宗派でも本山への分骨はできますか?
宗派によって対応が異なります。
浄土真宗のように制度化された本山納骨の仕組みを持つ宗派は限られますが、一部の宗派では本山への納骨を受け付けている場合もあります。
まずは菩提寺にご相談されるのが確実です。
まとめ
分骨とは、故人のご遺骨を2ヵ所以上に分けて供養する方法であり、法律でも認められた正当な行為です。
「縁起が悪い」「魂が分かれる」という心配は、宗教的な根拠のない誤解です。
むしろ、お釈迦様の仏舎利が分骨された歴史からもわかるように、分骨は古くから行われてきた供養の伝統。
浄土真宗では、本山に分骨を納める慣習が今も大切に受け継がれています。
分骨で最も大切なのは、ご家族でしっかりと話し合うこと。
そして、分骨証明書などの必要書類を正しく準備すること。
この2点を押さえておけば、手続き自体は決して難しくありません。
故人のご遺骨を分けてそれぞれの場所で供養する。
それは、故人との「ご縁」を新しい形でつないでいくことに他なりません。
この記事が、あなたとご家族にとって最適な供養の形を見つけるお手伝いになれば、葬祭カウンセラーとしてこれ以上嬉しいことはありません。
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また、日本葬祭アカデミー教務研修室にて「葬祭カウンセラー」資格を取得し、エンディング領域における専門性を活かした取り組みを進めている。
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