送骨・預骨
生活保護の遺骨引き取り|知っておくべき5つの選択肢と注意点
生活保護を受けていた大切な方の遺骨、その行方に不安を感じていませんか?
「費用はどれくらいかかるのだろう」「引き取り手がいなかったらどうなるの?」といった疑問や不安が、心に重くのしかかっているかもしれません。
ご安心ください。
この記事では、エンディング領域の専門家である私、新原秀崇が、生活保護受給者の遺骨の行方について、考えられる5つの選択肢を一つひとつ丁寧に解説します。
それぞれのメリット・デメリット、費用、手続きの方法から、知っておくべき注意点まで、この記事を読めばすべてが分かります。
あなたと故人にとって、最も心安らぐ道を見つけるお手伝いができれば幸いです。
【この記事の結論】生活保護の遺骨引き取り、5つの選択肢
生活保護を受けていた方の遺骨の扱いについて、葬祭扶助は原則「火葬」までです。
その後の供養には、主に以下の5つの選択肢があります。
- ① 血縁者が引き取る
最も一般的な方法。ただし、納骨や供養の費用は自己負担となります。 - ② 友人・知人が引き取る
血縁者がいない場合に可能な選択肢。ただし、手続きが複雑になることがあります。 - ③ 自治体に委ねる
引き取りが困難な場合の選択肢。費用は原則0円ですが、遺骨は合葬墓に埋葬され、二度と取り出せません。 - ④ 一度引き取り「手元供養」する
すぐに納骨先を決められない場合に、一時的に自宅で供養する方法。費用を抑えられます。 - ⑤ 専門業者に依頼し「散骨」する
お墓を持たずに、遺骨を自然に還す方法。お墓の管理費は不要です。

まず知っておきたい基本|生活保護受給者の遺骨はどうなる?
葬祭扶助で行われるのは「火葬」まで
生活保護法には、経済的に困窮している方のために「葬祭扶助」という制度が定められています。
これは、亡くなった方の尊厳を守るため、最低限度の葬儀費用を自治体が支給するものです。
しかし、ここで最も重要な点は、葬祭扶助の範囲は原則として「火葬」までであるということです。
葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 検案
二 死体の運搬
三 火葬又は埋葬
四 納骨その他葬祭のために必要なもの
上記の「納骨」とは、火葬した遺骨を骨壺に収めるまでを指し、お墓への納骨やその後の供養にかかる費用は含まれません。
つまり、火葬後の遺骨をどう供養していくかは、ご遺族や関係者が考え、その費用も負担する必要があるのです。
この点が、「生活保護の遺骨引き取り」問題を考える上での出発点となります。
火葬後の遺骨は「自治体が一定期間」保管する
では、火葬された後、引き取り手が見つからない遺骨はどうなるのでしょうか。
多くの場合、遺骨は火葬場の管理者や自治体によって、一定期間保管されます。
この保管期間は自治体の条例などによって異なりますが、一般的に5年程度が目安とされています。
この保管期間は、ご遺族や関係者が遺骨を引き取るための猶予期間と考えることができます。
この間に、故人とご自身の状況に合った供養の方法をじっくりと検討することが大切です。
保管期間を過ぎると「合葬墓」へ埋葬される
定められた保管期間を過ぎても引き取り手が見つからなかった場合、遺骨は最終的に自治体が管理する「合葬墓(がっそうぼ)」に埋葬されます。
合葬墓とは、血縁関係のない多くの方々の遺骨を一緒に埋葬するお墓のことで、「無縁塚(むえんづか)」とも呼ばれます。
一度合葬墓に埋葬されると、後から特定の個人の遺骨だけを取り出すことは、物理的に不可能になります。
つまり、この5年程度の保管期間が、故人の遺骨と個別に向き合うことができる最後の時間となるわけです。
この事実を重く受け止め、後悔のない選択をする必要があります。
関連記事: 遺骨の自宅保管はいつまでOK?法律から見る保管方法と「その後」の供養
【徹底比較】生活保護の遺骨引き取り、5つの選択肢
選択肢①:血縁者が引き取り、供養する
最も一般的で、多くの方が選ぶのがこの選択肢です。
民法では、祭祀の主宰者(一般的には喪主)が遺骨の所有権を持つと解釈されており、血縁者が遺骨を引き取り、その後の供養方法を決定します。
- メリット:
故人と縁の深い方が、責任をもって供養の方法(お墓への納骨、永代供養、樹木葬など)を自由に選ぶことができます。
故人の遺志や、ご自身の想いを反映した、納得のいく形でお見送りできるでしょう。 - デメリット:
納骨や供養にかかる費用は、すべて自己負担となります。
経済的な負担が大きくなる可能性があるため、後述する費用相場を参考に、慎重に計画を立てる必要があります。 - 注意点:
遺骨の引き取りは、感情的な負担を伴うこともあります。
一人で抱え込まず、家族や親族とよく話し合うことが大切です。
選択肢②:友人・知人が引き取る
故人に身寄りがいない、あるいは血縁者が引き取りを拒否した場合でも、故人と縁の深かった友人や知人が遺骨を引き取れる可能性があります。
実際に、生活保護法では、扶養義務者でない第三者が葬祭を行う場合に葬祭扶助を申請できる道が開かれています。
- メリット:
血縁という形に縛られず、故人と心の繋がりがあった方が、その想いを形にすることができます。
自治体に委ねる以外の選択肢が生まれることは、非常に大きな意味を持ちます。 - デメリット:
自治体の運用上、血縁者が優先されるのが一般的です。
そのため、友人・知人が引き取るためには、まず「引き取る血縁者がいない」ことが確定し、自治体の保管期間が満了するのを待つ必要があるなど、手続きが複雑になる場合があります。 - 注意点:
友人・知人が引き取りを希望する場合は、まず故人が暮らしていた自治体の福祉事務所や、遺骨が保管されている火葬場に、その意思を明確に伝えておくことが重要です。
選択肢③:引き取りを拒否し、自治体に委ねる
経済的な事情や、故人との関係性など、やむを得ない理由で遺骨の引き取りが困難な場合、引き取りを拒否し、自治体に委ねるという選択肢もあります。
遺骨の引き取りは、祭祀の権利であって、法的な義務ではありません。
そのため、引き取りを拒否しても、法律上の罰則を受けることはありません。
- メリット:
経済的な負担や、将来にわたる管理の負担が一切なくなります。
どうしてもしのげない状況にある方にとっては、現実的な選択肢と言えるでしょう。 - デメリット:
遺骨は最終的に合葬墓に埋葬され、二度と取り出すことはできなくなります。
後になって「やはり供養してあげたかった」と思っても、その時にはもう叶いません。
この選択がもたらす心理的な影響についても、慎重に考える必要があります。 - 注意点:
引き取りを拒否する意思は、明確に自治体に伝える必要があります。
曖昧な態度をとっていると、意図せず引き取りの意思があると見なされてしまう可能性もゼロではありません。
選択肢④:一度引き取り「手元供養」する
「すぐに納骨先を決められない」「お墓にかかる費用がすぐには用意できない」といった場合に有効なのが、一度遺骨を引き取って自宅で供養する「手元供養」です。
- メリット:
小さな骨壺や、遺骨を加工したアクセサリーなどを使い、故人を身近に感じながら供養することができます。
費用を大幅に抑えられる上、納骨先をじっくり探す時間を確保できます。 - デメリット:
手元供養はあくまで一時的な、あるいは部分的な供養の方法です。
将来的に、残りの遺骨をどうするのか(お墓に納めるのか、散骨するのかなど)という課題は残ります。
ご自身のライフプランの変化も考慮して、最終的な納骨先について考えておく必要があります。 - 注意点:
ご家族や親族の中に、手元供養に対して抵抗を感じる方がいるかもしれません。
事前に周囲の理解を得ておくことが、後のトラブルを避けるために重要です。
選択肢⑤:専門業者に依頼し「散骨」する
お墓を持たずに故人を自然に還す「散骨」も、近年注目されている新しい供養の形です。
専門の業者に依頼し、遺骨を2mm以下のパウダー状にしてから、海洋や山林などに撒きます。
- メリット:
お墓の建立や維持管理にかかる費用が不要になります。
宗教や慣習にとらわれず、「自然に還りたい」という故人の遺志を尊重できる可能性があります。 - デメリット:
一度散骨すると、遺骨は手元に残りません。
「お墓まいり」のように、手を合わせる具体的な対象がなくなることに、寂しさを感じる方もいます。
また、散骨には法律や条例で定められたルールがあり、どこでも自由にできるわけではありません。 - 注意点:
信頼できる専門業者を選ぶことが非常に重要です。
費用の内訳や、散骨を行う場所、法的な手続きについて、事前に十分な説明を受け、納得した上で依頼するようにしましょう。
【ケース別】遺骨引き取りの手続き完全ガイド
ケース1:血縁者が引き取る場合の手順
血縁者の方が遺骨を引き取る場合、以下の手順で進めるのが一般的です。
ただし、自治体によって細かなルールが異なる場合があるため、必ず事前に確認してください。
1. 福祉事務所への連絡
まず、故人が生活保護を受給していた市区町村の福祉事務所に連絡し、遺骨を引き取りたい旨を明確に伝えます。
2. 必要書類の準備
申請者の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑、そして故人との続柄を証明する戸籍謄本などが必要になります。
必要な書類は事前に福祉事務所に確認しておきましょう。
3. 火葬場への連絡と日程調整
福祉事務所から遺骨の引き渡しに関する許可(「火葬済証明書」や「遺骨引渡書」など)が出たら、遺骨が保管されている火葬場に連絡し、引き取りの日時を予約します。
4. 遺骨の引き取り
予約した日時に火葬場へ行き、必要書類を提示して遺骨を引き取ります。
その後は、事前に決めておいた方法(お墓への納骨、永代供養、手元供養など)で供養します。
ケース2:友人・知人が引き取る場合の注意点
友人・知人として遺骨の引き取りを希望する場合、血縁者とは異なるいくつかの注意点があります。
まずは自治体への意思表示
血縁者がいない、または全員が引き取りを拒否している状況であっても、まずは「自分が引き取りたい」という意思を、故人が最後に住んでいた自治体の福祉事務所に伝えておくことが重要です。
これにより、将来的に引き取り手として名乗り出る道が拓ける可能性があります。
血縁者の権利が優先される
法律上、祭祀の主宰は血縁者が優先されます。
そのため、一人でも引き取りを希望する血縁者がいる場合は、友人・知人が引き取ることは原則としてできません。
保管期間満了を待つケースも
すべての血縁者が引き取りを拒否したことが確認された後、自治体の定める保管期間(5年程度)が満了するのを待ってからでないと、引き渡しが認められないケースもあります。
この運用は自治体によって大きく異なるため、根気強く確認と交渉を続ける必要があります。
共通の注意点:役所の許可がなければ引き取れない
最も重要な点は、どのような関係性であれ、直接火葬場に行っても遺骨を引き取ることはできないということです。
必ず事前に、故人が生活保護を受給していた自治体の福祉事務所を通して、「遺骨の引き渡し許可」を得る必要があります。
この許可があって初めて、火葬場は遺骨を引き渡すことができます。
この手順を間違えないように、くれぐれもご注意ください。
【費用一覧】各選択肢でかかるお金は?
引き取りを拒否する場合:費用負担は原則0円
遺骨の引き取りを拒否し、自治体にすべてを委ねる場合、費用負担は原則として0円です。
火葬から合葬墓への埋葬まで、すべて公費(税金)で賄われます。
経済的にどうしても引き取りが困難な状況にある方にとっては、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
引き取った後の供養方法別・費用相場
一方、遺骨を引き取った場合は、その後の供養にかかる費用は自己負担となります。
供養の方法によって費用は大きく異なりますので、ご自身の経済状況と故人への想いを照らし合わせ、最適な方法を検討しましょう。
以下に、代表的な供養方法の費用相場(2026年2月時点)をまとめました。
| 供養方法 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合祀墓 | 3万円~30万円 | 他の遺骨と一緒に埋葬されるため、費用を抑えられる。一度納骨すると遺骨は取り出せない。 |
| 永代供養(個別) | 30万円~150万円 | 一定期間(例:33回忌までなど)は個別に安置され、その後合祀される。お墓の継承者がいなくても安心。 |
| 樹木葬 | 20万円~80万円 | 墓石の代わりに樹木をシンボルとするお墓。自然志向の方に選ばれることが多い。 |
| 散骨 | 5万円~30万円 | 遺骨を粉末状にして海や山に還す。お墓の管理が不要。専門業者への依頼が一般的。 |
| 手元供養 | 1万円~10万円 | 自宅で遺骨を保管・供養する方法。骨壺やアクセサリーなどの費用のみ。 |
専門家からのアドバイス|後悔しないための3つの心構え
1. 一人で抱え込まず、まずは相談する
大切な方を亡くし、経済的な不安も重なる中で、遺骨のことで思い悩むのは当然のことです。
しかし、どうか一人で抱え込まないでください。
まずは、福祉事務所のケースワーカーや、私のような葬祭カウンセラー、信頼できる葬儀社の担当者など、専門家に相談することから始めてみてください。
公的な支援制度について詳しく教えてもらえたり、あなたの状況に合った具体的な選択肢を一緒に考えてくれたりするはずです。
誰かに話すだけで、心の負担が軽くなることも少なくありません。
「実直に。誠実に。」を信条とする専門家は、あなたの不安に必ず真摯に向き合います。
2. 経済的な側面だけで判断しない
費用は、供養の方法を決める上で非常に重要な要素です。
しかし、経済的な側面だけで判断してしまうと、後々「もっとこうしてあげれば良かった」という後悔に繋がってしまう可能性があります。
少し立ち止まって、「故人をどう偲びたいか」「自分にとって、どのような形が最も心安らぐのか」をご自身の心に問いかけてみてください。
たとえ費用をかけられなくても、心を込めて手を合わせる方法はたくさんあります。
手元供養もその一つです。経済的な制約と、故人への想い。
その両方のバランスを大切にすることが、後悔しない選択への第一歩です。
3. 「何もしない」という選択肢も尊重する
様々な事情から、どうしても遺骨を引き取ることができない。その結論に至ったとしても、ご自身を責める必要は全くありません。
「引き取りを拒否する」こと、つまり「何もしない」という選択も、尊重されるべき一つの決断です。
故人への想いは、遺骨の有無や供養の形で決まるものではありません。
あなたの心の中で故人を想い、時々思い出してあげることが、何よりの供養になります。
やむを得ない事情があることを受け入れ、ご自身のこれからの人生を大切に歩んでいくこと。
それもまた、故人が望んでいることではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q: 遺骨の引き取りに、法的な義務はありますか?
A: 遺骨の所有権は祭祀の主宰者にありますが、その引き取りを直接義務付ける法律はありません。
そのため、引き取りを拒否しても法的な罰則はありません。
ただし、自治体の条例によっては、血縁者に対して引き取りを強く推奨される場合があります。
Q: 葬祭扶助で支給されたお金が余ったら、もらえますか?
A: 葬祭扶助は、葬儀社へ直接費用が支払われる「現物支給」が原則です。
自治体が定めた基準額の範囲内で、火葬に必要な費用のみが支払われます。
そのため、扶助費が余って現金としてご遺族や申請者が受け取れるということはありません。
Q: 遺骨を引き取った後、お墓に納骨する期限はありますか?
A: 納骨の時期に、法律上の決まりは一切ありません。
「墓地、埋葬等に関する法律」にも、納骨の期限に関する規定はないのです。
四十九日や一周忌などの法要に合わせて納骨するのが一般的ですが、これはあくまで慣習です。
ご自身の気持ちの整理がつき、経済的な準備が整ったタイミングで行って全く問題ありません。
関連記事: 49日法要でお墓がない場合の不安を解消。納骨は後でも大丈夫、心からの供養を
Q: 2026年以降、制度に大きな変更はありますか?
A: 2026年2月現在、生活保護法における葬祭扶助制度そのものに、大きな変更が予定されているという情報はありません。
ただし、一部の自治体では火葬料金の見直しや、それに対する補助制度の導入が進んでいます。
例えば、東京都23区では2026年4月から区民向けの火葬料補助が開始される予定です。
関連する費用は変動する可能性があるため、最新の情報は各自治体の窓口にご確認ください。
Q: 遠方に住んでいて、すぐには引き取りに行けません。
A: まずは慌てずに、故人がお住まいだった自治体の福祉事務所と、遺骨が保管されている火葬場の両方に電話で連絡し、事情を説明してください。
多くの自治体では、遠方に住んでいる、体調が悪いなどのやむを得ない事情を考慮し、引き取りの期限について相談に乗ってくれます。
誠実な対話を心がけることが大切です。
まとめ
生活保護を受けていた大切な方の遺骨の行方には、決して一つの正解があるわけではありません。
血縁者として責任をもって供養する方法、友人として想いを引き継ぐ方法、やむを得ず自治体に委ねる方法、そして手元供養や散骨といった新しい形。
この記事でご紹介した5つの選択肢には、それぞれメリットとデメリット、そして費用が伴います。
最も大切なのは、経済的な状況やご自身の気持ちと向き合い、あなた自身が心から納得できる選択をすることです。
そして、その選択に後悔しないために、一人で悩まず専門家に相談することです。
この記事が、あなたが心穏やかに故人を偲ぶための、最良の道を見つける一助となれば、これに勝る喜びはありません。
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また、日本葬祭アカデミー教務研修室にて「葬祭カウンセラー」資格を取得し、エンディング領域における専門性を活かした取り組みを進めている。
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