お墓の基礎情報
改葬許可証とは?必要書類・申請の流れ・費用までわかりやすく解説
「親のお墓を実家近くから自宅近くに移したい」「遠方のお墓を墓じまいして永代供養に切り替えたい」
そう考え始めたとき、最初に耳にする耳慣れない言葉が「改葬許可証」です。
お墓のご相談を日々受けていると、「役所で何かもらわないといけないらしい」「でも何から手をつければいいか分からない」という戸惑いの声がいちばん多く寄せられます。
この記事では、改葬許可証の基本から、必要な3つの書類、申請の5ステップ、費用の相場、そしてつまずきやすい注意点までをまとめてお伝えします。
【この記事の結論】改葬許可証の取得に必要な3つのポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な書類(3点) | 「改葬許可申請書」「埋蔵証明書」「受入証明書」の3つが必要です。 |
| 費用と枚数 | 費用は1体あたり数百円〜数千円。ご遺骨1体につき1枚の許可証が必要です。 |
| 最初に行うこと | 書類を集める前に、まずはご家族と現在の墓地管理者(お寺など)へ相談しましょう。 |

改葬許可証とは?お墓の引っ越しに必須の公的書類
改葬許可証とは、すでに埋葬されているご遺骨を別のお墓や納骨先へ移すときに、市区町村長から交付してもらう公的な許可証のことです。
お墓の引っ越しや墓じまいをする際には、ほぼ必ずこの書類が必要になります。
改葬許可証の定義と法的根拠(墓地埋葬法)
改葬許可証の根拠となっているのは、「墓地、埋葬等に関する法律(通称・墓地埋葬法)」第5条です。
この条文には、埋葬や改葬を行う者は、市区町村長の許可を受けなければならないと定められています。
つまり、ご遺骨は所有者の判断だけで自由に動かしてよいものではない、というのが法律の立場です。
背景には、公衆衛生の維持や、ご遺骨の所在を行政が把握しておく必要があるという考え方があります。
許可を受けずに改葬を行った場合、墓地埋葬法第21条により罰則の対象になることもあります。
「ちょっと面倒だな」と感じるかもしれませんが、ご遺骨を扱うという行為の重みを社会全体で大切にするための仕組みだとお考えいただければと思います。
改葬許可証が必要になるケース・不要なケース
改葬許可証は、基本的に「今あるお墓から別の納骨先へご遺骨を移す」すべての場面で必要になります。
代表的なケースを整理すると次の通りです。
- 別の墓地や霊園のお墓へ移す場合
- 寺院墓地から永代供養墓・納骨堂・樹木葬へ移す場合
- 墓じまいをして合祀墓へ移す場合
- 一部のご遺骨を分けて別の場所に納める場合(自治体によっては「分骨証明書」で対応)
一方、判断が分かれやすいのが、ご自宅で安置する「手元供養」や、海・山などへの「散骨」を選ぶケースです。
法律上の明確な規定がないため、自治体によって扱いが異なります。
「改葬許可申請が必要」とする自治体もあれば、「不要」とする自治体もありますので、必ず現在のお墓がある市区町村の担当窓口に最初に確認することが大切です。
ここで一つ大事なポイントがあります。
改葬許可証は原則としてご遺骨1体につき1枚必要です。
ご家族のお墓に複数の方が眠っている場合、その人数分の申請が必要になります。
後述する費用や書類も人数分かかるため、最初の段階で「お墓に何人埋葬されているか」を整理しておくと、後がぐっと楽になります。
改葬許可証の申請に必要な3つの書類
改葬許可証を交付してもらうために必要な書類は、基本的に次の3点です。
それぞれ「誰がどこで発行するのか」が異なるので、順番に整理していきましょう。
| 書類名 | 発行元 | 役割 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 現在のお墓がある市区町村役場 | 申請の本体となる書類 |
| 埋蔵(埋葬)証明書 | 現在のお墓の管理者 | ご遺骨が現にそこにあることの証明 |
| 受入証明書 | 新しい納骨先の管理者 | 移転先が受け入れることの証明 |
改葬許可申請書(移転元の市区町村役場で入手)
改葬許可申請書は、現在お墓がある市区町村の役場窓口、または公式ホームページからダウンロードして入手します。
記入する主な項目は、次のようなものです。
- 申請者の住所・氏名・連絡先
- 故人(埋葬されている方)の本籍・住所・氏名・性別・没年月日
- 現在のお墓の所在地と管理者
- 移転先の所在地と管理者
- 改葬の理由
ここで知っておきたいのは、申請書の様式や呼称が自治体ごとに微妙に異なるということです。
「改葬許可申請書兼埋蔵証明書」という形で、埋蔵証明書の欄が一体化している自治体もあります。
横浜市の改葬(遺骨の移動)の手続きページのように、自治体ごとに案内ページが用意されているので、まずは現在のお墓がある自治体のサイトで様式を確認するのが確実です。
埋蔵(埋葬)証明書(現在の墓地管理者が発行)
埋蔵証明書は、現在のお墓の管理者に「このお墓に確かにご遺骨が埋蔵されています」と証明してもらう書類です。
発行を依頼する相手は、お墓のある場所によって変わります。
- 寺院墓地の場合:住職(お寺)
- 公営霊園の場合:霊園事務所または自治体
- 民営霊園の場合:霊園事務所や運営会社
寺院墓地の場合に特に気をつけたいのは、いきなり「埋蔵証明書をください」と切り出すのではなく、まずは住職に墓じまい・改葬を考えている旨を丁寧にお伝えし、ご相談するというステップを大切にしていただきたい、ということです。
長年ご先祖を守ってくださった感謝をお伝えしないまま事務手続きだけを進めると、トラブルにつながりやすくなります。
これは葬祭カウンセラーとして強くお伝えしたいポイントです。
受入証明書(新しい納骨先が発行)
受入証明書は、新しくご遺骨を納める墓地・納骨堂・永代供養墓・樹木葬などの管理者に発行してもらう書類です。
「この方のご遺骨を受け入れます」という意思表示を、書面で示してもらうものとお考えください。
通常は、新しい納骨先と契約・申し込みを行うタイミングで一緒に発行してもらえます。
永代供養墓や合祀タイプの場合は、「永代使用許可証」や契約書が受入証明書の代わりになるケースもあります。
発行手数料は基本的に無料です。
改葬許可証の申請の流れ【5ステップで解説】
ここからは、実際に改葬許可証を取得するまでの流れを5つのステップに分けてご説明します。
書類の話だけ聞くと難しそうに感じますが、順番通り進めれば決して複雑ではありません。
ステップ1:家族・親族・現在の墓地管理者と話し合う
法律上の手続きよりも先に、必ずやっていただきたいのがご家族・ご親族との話し合いです。
お墓は故人だけのものではなく、ご家族全員にとっての心の拠り所でもあります。
後から「聞いていなかった」「勝手に動かされた」というすれ違いが起きると、大切なご縁にひびが入ってしまいます。
私がご相談を受けてきた中でも、トラブルの大半は「事前の対話不足」から生まれていました。
改葬の理由、移転先の候補、費用の負担などを共有し、できれば全員が納得した状態で次に進みましょう。
あわせて、現在の墓地管理者(特に寺院の場合は住職)にも、早い段階でお気持ちをお伝えすることが大切です。
ステップ2:移転先を決めて受入証明書を取得する
次に、新しい納骨先を決めます。
選択肢は大きく分けて次のようなものがあります。
- 一般墓(新しくお墓を建てる)
- 永代供養墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 合祀墓
- 散骨・手元供養(要件は自治体に要確認)
ご家族の状況、ご予算、これからの「おまいり」のスタイルに合うものを選びましょう。
納骨先が決まったら、契約と同時に受入証明書を発行してもらいます。
ステップ3:移転元の役所で改葬許可申請書を入手し記入する
移転先が確定したら、現在のお墓がある市区町村役場で改葬許可申請書を入手します。
窓口で受け取ることも、公式サイトからダウンロードして印刷することもできます。
最近は郵送申請に対応する自治体も増えていますので、遠方の場合は事前に問い合わせてみてください。
申請書には、ご遺骨1体ごとに1枚の記入が必要です。
お墓に複数の方が眠っている場合は、人数分の用紙を用意しましょう。
ステップ4:埋蔵証明をもらい3点セットを役所に提出
記入した改葬許可申請書を、現在のお墓の管理者に持参して埋蔵証明(署名・押印)をいただきます。
あわせて受入証明書もそろえ、3点セットを移転元の市区町村役場に提出します。
提出後、内容に問題がなければ、その場または数日以内に改葬許可証が交付されます。
自治体によっては当日受け取り可能なところもあれば、後日郵送になるところもあります。
ステップ5:改葬許可証を受け取り遺骨を移す
改葬許可証を受け取ったら、いよいよご遺骨の移動です。
一般的な流れは次の通りです。
- ①現在のお墓で閉眼供養(魂抜き)を行う
- ②石材店にお墓の解体・撤去を依頼する
- ③ご遺骨を取り出す
- ④新しい納骨先に改葬許可証を提出して納骨する
- ⑤必要に応じて開眼供養(魂入れ)を行う
新しい納骨先では、改葬許可証の提出が納骨の条件になっていることがほとんどですので、紛失しないよう大切に保管してください。
改葬許可証の取得にかかる費用の相場
「結局いくらかかるの?」というのも気になるところですよね。
書類そのものにかかる費用と、改葬全体にかかる費用に分けて整理します。
書類ごとの手数料目安
書類の発行手数料は、自治体や墓地管理者によって幅がありますが、おおよその相場は次の通りです。
| 書類 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書(許可証の発行) | 0円〜1,000円程度 | 無料の自治体も多い |
| 埋蔵(埋葬)証明書 | 0円〜1,500円程度 | 寺院・霊園により異なる |
| 受入証明書 | 基本的に無料 | 契約時に発行 |
ご遺骨1体あたりで考えると、数百円〜数千円の範囲に収まるケースがほとんどです。
ただし、複数体を改葬する場合は人数分かかる点を忘れないようにしましょう。
改葬全体でかかるその他の費用
改葬を進めていくと、書類代以外にもさまざまな費用が発生します。
総額でいうと、墓じまいから新しい納骨先での供養までを含めて、一般的には50万円〜150万円程度が目安とされています。
内訳のイメージは次の通りです。
- 墓石の解体・撤去工事費:1㎡あたり10万円〜15万円程度
- 閉眼供養のお布施:3万円〜5万円程度
- 離檀料(寺院墓地の場合):5万円〜20万円程度
- ご遺骨の運搬費:数千円〜数万円
- 新しい納骨先の費用:数万円〜100万円以上(選ぶ供養形態による)
詳しい墓じまい費用の内訳や全国的な相場については、墓じまいにかかる費用の平均総額(祈り浄苑)も参考になります。
立地条件や墓地の広さによって金額は大きく変わりますので、複数の石材店から見積もりを取ることをおすすめします。
改葬許可証の申請でつまずきやすい注意点
最後に、実際にご相談を受けていて「ここでつまずく方が多い」というポイントを3つお伝えします。
自治体ごとに様式・呼称・必要書類が違う
冒頭でも触れましたが、改葬許可申請の様式は自治体ごとに異なります。
「埋蔵証明書を別書類として用意する自治体」もあれば、「申請書の中に証明欄が組み込まれている自治体」もあります。
インターネット上の他の自治体の様式を流用してしまうと、受け付けてもらえないことがあります。
最初の一歩として、現在のお墓がある自治体の公式サイトで様式を確認し、不明点は電話で問い合わせる。
これがいちばん確実で、結果的にいちばん早道です。
遺骨1体につき1枚の許可証が必要
家族墓に複数の方が眠っている場合、改葬許可証も人数分必要になります。
書類代だけでなく、記入の手間も人数分かかります。
特に古いお墓の場合、「誰がいつ入っているのか正確に分からない」というケースも珍しくありません。
そんなときは、現在の墓地管理者(お寺や霊園)に過去帳や記録を確認してもらうところから始めましょう。
ご先祖の名前を一人ずつ確認していく時間は、ご家族にとって大切な「振り返りのひととき」にもなります。
寺院墓地の場合は離檀の合意形成を優先
寺院墓地から別の場所へ改葬する場合、いわゆる「離檀」の話し合いが避けて通れません。
埋蔵証明書の発行をスムーズに進めるためにも、書類の話より先に、これまでお世話になった感謝の気持ちをきちんとお伝えすることが大切です。
「離檀料」については明確な決まりはなく、お寺との関係性によって金額が変わります。
一方的に「相場はいくらですか」と尋ねるのではなく、これまでの感謝とこれからの想いを丁寧にお話ししたうえで、住職にご相談するという姿勢が、結果的にお互いにとって納得感のある形につながります。
よくある質問(FAQ)
Q. 改葬許可証に有効期限はありますか?
改葬許可証そのものに、法的な有効期限は定められていません。
ただし、許可証を取得してから実際に改葬を済ませるまで、3ヶ月以内を目安にされる方が多いです。
新しい納骨先によっては独自の期限を設けている場合もありますので、納骨の日程はあらかじめ調整しておくと安心です。
Q. 改葬許可証は本人以外でも申請できますか?
申請者は、原則として祭祀主宰者(多くの場合は喪主やお墓の使用者)となります。
ご家族や行政書士などが代理で申請することも可能ですが、その際は委任状が必要となる自治体がほとんどです。
詳しくは、現在のお墓がある自治体の窓口にご確認ください。
Q. 散骨や手元供養でも改葬許可証は必要ですか?
法律上の明確な規定がないため、自治体によって判断が分かれます。「改葬許可申請が必要」とする自治体もあれば、「不要」または「別の手続き」とする自治体もあります。トラブルを避けるためにも、必ず移転元の自治体に事前確認をしてから動くようにしてください。
Q. 郵送でも申請できますか?
多くの自治体で郵送申請に対応しています。一般的には、記入済みの申請書、埋蔵証明書、受入証明書、本人確認書類のコピー、返信用封筒などをそろえて郵送します。必要書類は自治体ごとに異なるので、事前に公式サイトや電話で確認しましょう。
Q. 改葬許可証をなくしてしまった場合は再発行できますか?
交付した自治体に申請すれば、再発行は可能です。
ただし、再発行には時間がかかることもあります。
新しい納骨先に提出するまでの間は、契約書類などと一緒にクリアファイルにまとめて保管しておくのがおすすめです。
Q. 改葬許可証は分骨にも使えますか?
分骨の場合は「改葬」ではなく、別の書類である分骨証明書が必要になります。
発行元は、現在のお墓の管理者または火葬時であれば火葬場です。
手続きの種類が異なりますので、ご自身がやりたいことが「改葬」なのか「分骨」なのかを最初に整理しておくと迷わずに済みます。
まとめ
改葬許可証は、お墓の引っ越しや墓じまいをする際に欠かせない、墓地埋葬法に基づく公的な書類です。
必要な書類は次の3点でした。
- 改葬許可申請書(移転元の役所で入手)
- 埋蔵証明書(現在の墓地管理者が発行)
- 受入証明書(新しい納骨先が発行)
書類だけ見ると堅苦しく感じますが、流れを順番に追っていけば、決して難しい手続きではありません。
費用もご遺骨1体あたり数百円〜数千円が目安で、行政手続きとしてはむしろやさしい部類に入ります。
葬祭カウンセラーとして最後にひとつだけお伝えしたいのは、書類の前に、まずご家族と現在の墓地管理者との対話を大切にしてほしいということです。
手続きは事務的に進められても、人の気持ちはそうはいきません。
お墓の引っ越しは、ご先祖と向き合い直す大切な節目でもあります。
もし迷ったら、一人で抱え込まずに、私たちgoennのような相談窓口にも気軽にお声かけください。
あなたとご家族にとって、いちばん納得のいくおまいりのかたちを、一緒に探していけたらうれしいです。
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また、日本葬祭アカデミー教務研修室にて「葬祭カウンセラー」資格を取得し、エンディング領域における専門性を活かした取り組みを進めている。
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