法事・法要
送骨は故人への失礼ではない。各宗派の送骨に対する考え方を専門家が解説
「遠方にお墓があり、なかなかお参りに行けない」「お墓を継ぐ人がいない」など、現代ならではのお墓の悩みを抱えていらっしゃいませんか。
そんな中、「送骨」というご遺骨を郵送して供養してもらう方法が注目されています。
しかし、「ご遺骨を郵送するなんて、故人に失礼ではないだろうか」「自分の家の宗派では許されるのだろうか」といった不安を感じる方も少なくありません。
ご安心ください。
この記事では、エンディング領域の専門家である私、新原秀崇が、送骨は決して故人に失礼な行為ではない理由と、仏教主要宗派の送骨に対する考え方を、どこよりも分かりやすく解説します。
【この記事の結論】送骨に関する3つの安心ポイント
- 故人への想いが大切
送骨は決して失礼にはあたりません。供養で最も重要なのは「故人を想う心」です。- 法律的にも問題なし
送骨は法律で認められた行為です。ただし、ご遺骨の郵送は日本郵便の「ゆうパック」に限られます。- 多くの宗派で受け入れ
多くの宗派で送骨は柔軟に受け入れられていますが、菩提寺がある場合は必ず事前に相談しましょう。
結論:送骨は故人への失礼にはあたりません
まず結論から申し上げます。
送骨は、決して故人への失礼にはあたりません。
「ご遺骨を郵送する」という行為だけを聞くと、どこか事務的で、心がこもっていないように感じてしまうかもしれません。
しかし、大切なのはその背景にある想いです。
様々な事情で従来のお墓参りが難しくなる中で、故人を想い、きちんと供養したいという気持ちから送骨を選ぶのであれば、それは立派な供養の形です。
なぜ失礼ではないのか?供養の本質から考える
葬祭カウンセラーとして多くの方のご相談をお受けする中で、私が常にお伝えしているのは、供養で最も大切なのは「故人を想う心」だということです。
物理的な距離や供養の方法、お墓の豪華さが重要なのではありません。
たとえお墓が遠くにあっても、立派な墓石でなくても、故人を偲び、感謝する気持ちを持ち続けることこそが、供養の本質です。
様々な事情で従来のお墓参りが難しい現代において、送骨は故人とのご縁を繋ぎ続けるための新しい選択肢です。
「お墓を無縁仏にしたくない」「これからもきちんと供養を続けたい」というあなたの誠実な想いを形にする方法であり、故人もきっとその気持ちを喜んでくださるはずです。
法律的にも問題のない行為です
送骨は、気持ちの面だけでなく、法律的にも認められた行為です。
お墓や埋葬に関する法律として「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」がありますが、この法律ではご遺骨の郵送を禁止する規定はありません。
つまり、送骨という行為自体に法的な問題は一切ないのです。
ただし、一つだけ重要なルールがあります。
それは、ご遺骨を郵送できるのは日本郵便の「ゆうパック」に限られるという点です。 ヤマト運輸や佐川急便といった民間の宅配業者では、ご遺骨を送ることはできませんので注意が必要です。
そもそも「送骨」とは?
ここで改めて「送骨」がどのようなものか、その仕組みと選ばれる理由について確認しておきましょう。
送骨の仕組みを分かりやすく解説
「送骨」とは、その名の通り、ご遺骨をゆうパックなどで寺院や霊園に送り、永代供養(えいたいくよう:寺院や霊園が永代にわたってご遺骨を管理・供養すること)をしてもらう、比較的新しい供養の形です。
お墓の継承者がいないなどの理由で「墓じまい(お墓を撤去して更地にし、使用権を管理者に返すこと)」をした後のご遺骨の受け入れ先として、また、そもそもお墓を持たないという選択肢として利用されるケースが増えています。
送骨を受け入れている寺院や霊園に申し込み、ご遺骨と必要書類を送付すると、その寺院や霊園が責任をもって納骨し、その後の供養も執り行ってくれます。
送骨が選ばれる現代的な理由
なぜ今、送骨を選ぶ人が増えているのでしょうか。
その背景には、現代社会が抱える様々な事情があります。
お墓の継承者がいない
少子化や未婚化により、先祖代々のお墓を継ぐ人がいないケースが増えています。 自分の代でお墓をしまい、永代供養に切り替える際に送骨が利用されます。
お墓が遠方にある
生まれ故郷を離れて都市部で生活する人が増え、お墓が遠方にあってなかなかお参りに行けないという悩みも深刻です。
経済的な負担を減らしたい
新しくお墓を建てるには多額の費用がかかります。送骨による永代供養は、お墓を建てるよりも費用を抑えられる場合が多いです。
子どもに負担をかけたくない
「自分たちのお墓のことで、子どもや孫の代に迷惑をかけたくない」という想いから、生前のうちに自身の供養の形として送骨を選ぶ方もいらっしゃいます。
身体的な理由でお墓参りが難しい
ご高齢であったり、お身体が不自由であったりして、ご自身でご遺骨を持ってお墓に行くことが困難な場合にも、送骨は有効な手段となります。
これらの理由は、どれも切実なものです。
送骨は、こうした現代ならではの悩みに応える、合理的で心のこもった選択肢と言えるでしょう。
送骨についてもっと詳しく知りたい方は「送骨とは?遺骨を郵送する方法・流れ・費用を初心者向けに解説」の記事もご覧ください。
【宗派別】送骨に対する考え方と受け入れ状況
「送骨が失礼ではないことは分かったけれど、自分の家の宗”派ではどうなのだろう?」という点が、最も気になる部分かと思います。
ここでは、仏教の主要な宗派が送骨をどのように捉えているのか、専門家の視点から解説します。
仏教全体としての基本的な考え方
まず大前提として、仏教の教えの根幹では、ご遺骨そのものへの執着よりも、故人の冥福を祈る心や、仏の教えに触れることが重視されます。
お釈迦様のご遺骨(仏舎利)が各地に分骨されたように、仏教ではご遺骨を分けて祀ることに抵抗が少ない文化があります。
この考え方から、多くの宗派では「送骨」という形式自体を明確に禁止しているわけではありません。
もちろん、寺院や住職個人の考え方によって対応は異なりますが、社会の変化に合わせて、送骨を永代供養の一環として柔軟に受け入れる寺院が増えているのが現状です。
浄土真宗における送骨の考え方
浄土真宗では、「亡くなった方は阿弥陀如来のお力によって、すぐに極楽浄土へ往生(おうじょう)する」という「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の教えが基本です。
そのため、故人の成仏を願う「追善供養」という概念が他宗派とは少し異なります。
ご遺骨は故人が生きた証として大切にしますが、魂が宿るものとは考えません。
このような教えから、送骨という合理的な方法に対しても比較的柔軟な姿勢を示す寺院が多い傾向にあります。
また、浄土真宗ではご遺骨の一部(喉仏など)を本山に納める「分骨」の習慣が古くからあり、ご遺骨を移動させること自体に抵抗が少ない宗派とも言えるでしょう。
関連記事: 浄土真宗の永代供養にかかる費用はいくら?永代経・合祀墓・個別墓の料金相場まとめ
浄土宗における送骨の考え方
浄土宗も、浄土真宗と同様に「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、誰もが極楽浄土へ往生できるという教えです。
故人は亡くなるとすぐに仏様になるため、この世に残されたご遺骨に執着する必要はない、と考える点も共通しています。
総本山である京都の知恩院では、宗旨宗派を問わず広く納骨を受け入れており、多様な供養の形に寛容な姿勢が見られます。
このような背景から、浄土宗の寺院でも送骨を受け入れているところは多く存在します。
ただし、浄土宗では永代供養を「永代祠堂(えいたいしどう)」と呼ぶなど、独自の慣習があるため、事前に確認すると良いでしょう。
真言宗における送骨の考え方
真言宗は、故人が大日如来と一体になる「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」を目指す教えです。
総本山である高野山 奥之院では、宗旨宗派を問わず納骨(分骨のみ)を受け入れています。 これは、弘法大師空海のそばで眠りたいという多くの人々の願いに応えるものであり、多様な供養を受け入れる懐の深さを示しています。
高野山では古くから全国各地の信徒がご遺骨を納めてきた歴史があり、ご遺骨を遠方から運ぶという行為自体が伝統的に行われてきました。
こうした背景から、送骨という現代的な方法にも理解がある寺院が多いと言えます。
曹洞宗・臨済宗(禅宗)における送骨の考え方
坐禅を修行の中心とする曹洞宗や臨済宗などの禅宗では、形式よりも精神性が重んじられます。
過去には、送骨に対して「供養する心を軽視する方法ではないか」といった慎重な意見も一部にはありました。
しかし、近年は社会の変化に対応し、永代供養の一環として送骨を受け入れる寺院も増えています。
曹洞宗の大本山である永平寺や總持寺では、現在、分骨のみを受け付けています。 全てのご遺骨を納めることはできませんが、これもご遺骨を分けて供養するという考え方に基づいています。
臨済宗も多くの派に分かれていますが、各本山や関連寺院で永代供養墓を設けている場合があり、送骨に対応しているケースも見られます。
日蓮宗における送骨の考え方
日蓮宗は、「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることで、誰でも成仏できると説きます。
実は、送骨が広がるきっかけ(先駆け)の一例として、富山県高岡市の日蓮宗・大法寺が挙げられると報じられています。したがって、日蓮宗の一部寺院では比較的新しい供養の形にも取り組む例が見られます。
総本山である身延山久遠寺でも納骨を受け付けており、分骨だけでなく、条件によっては全てのご遺骨を納める「全骨」での納骨も可能です。
日蓮聖人が眠る聖地で供養されたいと願う信徒の想いに応える形で、様々な納骨方法が用意されています。
注意:菩提寺がある場合は必ず事前に相談を
ここで、非常に重要な注意点をお伝えします。
もしあなたのご家庭に、先祖代々お世話になっている「菩提寺(ぼだいじ)」がある場合は、送骨を検討する前に、必ず住職に相談してください。
菩提寺は、これまでご先祖様を大切に供養してきてくださった、いわば家族のような存在です。
何の相談もなく墓じまいや送骨を進めてしまうと、「これまでのお付き合いをないがしろにされた」と感じさせてしまい、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
「お墓の維持が難しくなってきて…」と正直に事情を話せば、きっと親身に相談に乗ってくださるはずです。
宗派の考え方とは別に、菩提寺との良好な関係を保つことが、円満な供養への第一歩です。
よくある質問(FAQ)
最後に、送骨に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q: 送骨は法律的に問題ないのでしょうか?
A: はい、問題ありません。
「墓地、埋葬等に関する法律」で遺骨の郵送は禁止されていません。 ただし、遺骨を送ることができるのは日本郵便の「ゆうパック」のみと定められています。 ヤマト運輸や佐川急便などの民間宅配業者は利用できないので注意が必要です。
Q: 送骨にかかる費用はどのくらいですか?
A: 費用は依頼する寺院や霊園、また納骨の方法(合祀か個別かなど)によって大きく異なりますが、一般的には5万円~10万円程度が目安です。 この費用には、永代供養料や納骨法要のお布施などが含まれていることが多いです。 事前に内訳をしっかりと確認しましょう。
Q: 自分の家の宗派が分からない場合はどうすれば良いですか?
A: まずはご両親やご親族に確認してみるのが一番です。
それでも分からない場合は、仏壇にあるご本尊の種類や位牌の形、お経などから推測することも可能です。
近年は「宗教・宗派不問」で送骨を受け入れている寺院や霊園も多いため、そちらを検討するのも一つの方法です。
Q: 送骨をすると、もうお参りはできなくなりますか?
A: いいえ、そんなことはありません。
送骨先の寺院や霊園には、ご遺骨が納められた合祀墓(ごうしぼ:他のご遺骨と一緒に祀られるお墓)や納骨堂がありますので、そちらにお参りすることができます。
お参りの作法などは事前に確認しておくと安心です。
Q: 送骨で後悔しないために、気をつけるべきことは何ですか?
A: 最も大切なのは、ご家族やご親族としっかり話し合い、皆様が納得した上で決めることです。
独断で進めてしまうと、後々トラブルになる可能性があります。
また、依頼先の寺院や霊園が信頼できるかどうか、事前にホームページを見たり、電話で問い合わせたりして、丁寧に対応してくれるかを確認することも重要です。
まとめ
この記事では、送骨が故人に失礼な行為ではない理由と、各宗派の考え方について解説しました。
供養において最も大切なのは、故人を敬い、想う心です。
そして、その想いをどのような形で表現するかは、時代と共に変化していきます。
送骨は、お墓の維持が難しい現代社会において、その大切な想いを繋ぎ続けるための有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
この記事が、あなたが心から納得できる供養の形を見つける一助となれば幸いです。
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また、日本葬祭アカデミー教務研修室にて「葬祭カウンセラー」資格を取得し、エンディング領域における専門性を活かした取り組みを進めている。
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