法事・法要
送骨で後悔しないために。よくあるトラブルと対策を事例で解説
「お墓が遠くて、なかなかお参りに行けない」
「跡継ぎがおらず、お墓の将来が心配」
こうしたお悩みから「送骨」という新しい供養の形を検討される方が増えています。
しかし、大切なご遺骨を郵送することに、不安を感じるお気持ちは当然のことです。
葬祭カウンセラーとして、また供養サービスの開発に携わる専門家として、これまで多くのご相談を受けてまいりました。
そこで今回は、送骨で後悔しないために知っておくべき、よくあるトラブルとその対策を具体的な事例を交えて、どこよりも分かりやすく解説します。
【この記事の結論】送骨で後悔しないための3つの鉄則
- 必ず「親族の合意」を得る
送骨は、自分一人で決めると後で大きなトラブルになりがちです。なぜ送骨したいのか、想いを丁寧に伝え、関係者全員の納得を得ることが最も重要です。 - 費用の「総額」を書面で確認する
「3万円~」のような表示に惑わされず、追加料金が一切ないか、必ず最終的な支払総額の見積もりを書面で取得しましょう。 - 信頼できる業者を「3つの視点」で見極める
料金の安さだけで選ばず、「情報開示の誠実さ」「実績と実態」「対応の親身さ」の3つのポイントで業者を慎重に選びましょう。

そもそも送骨とは? なぜ今、トラブルが問題に?
まずは送骨の基本と、なぜトラブルが起きやすいのか、その背景からご説明します。
送骨の基本を1分でおさらい
送骨(そうこつ)とは、ご遺骨をゆうパックで寺院や霊園に送り、永代供養などをしてもらう比較的新しい供養の方法です。
お墓の継承者がいない、お墓が遠方にあって管理が難しい、経済的な負担を減らしたいといった、現代のライフスタイルや社会の変化から生まれた、合理的な選択肢の一つと言えます。
送骨されたご遺骨は、多くの場合、他のご遺骨と一緒に埋葬される「合祀墓(ごうしぼ)」や、樹木を墓標とする「樹木葬」などで永代にわたり供養されます。
関連記事: 送骨とは?遺骨を郵送する方法・流れ・費用を初心者向けに解説
なぜ送骨で後悔やトラブルが起きやすいのか?
手軽さや費用の安さが魅力の送骨ですが、その裏にはトラブルにつながりやすい要因が潜んでいます。
送骨でトラブルが起きやすい3つの要因
- 顔が見えない相手とのやり取り
申し込みから納骨まで、業者と一度も顔を合わせずに完結することが多いため、相手が本当に信頼できるのか判断が難しい。- 親族間の合意形成不足
「自分だけで決めても大丈夫だろう」と安易に進めてしまい、後から親族の猛反対にあうケースが後を絶ちません。- 一度行うと元に戻せない
特に合祀墓に納骨した場合、ご遺骨は他の方のものと一緒になるため、二度と個別に取り出すことはできません。 この不可逆性を理解しないまま進めると、深刻な後悔につながります。
これらの要因を理解し、一つひとつ丁寧に対策を講じることが、後悔しない送骨の第一歩となります。
事例で学ぶ、送骨でよくある5つのトラブルと具体的な対策
ここからは、私が葬祭カウンセラーとして実際に耳にしてきた、送骨に関する5つの典型的なトラブル事例と、その具体的な対策を解説します。
【トラブル事例1】親族との意見対立「そんなこと聞いていない!」
<Aさんのケース>
遠方に住む母親を亡くしたAさん。自身も高齢で、実家のお墓まで頻繁にお参りに行くのは難しいと考え、費用も抑えられる送骨を選びました。手続きを終え、納骨が完了したことを兄弟に事後報告したところ、「なぜ相談もなしに勝手なことをしたんだ!先祖代々のお墓をどうするつもりだ!」と猛反対され、関係が悪化してしまいました。
なぜこのトラブルは起きるのか?
お墓や供養に対する考え方は、人それぞれです。
Aさんは「管理のしやすさ」を重視しましたが、ご兄弟は「先祖代々受け継がれてきたお墓を守ること」や「お参りする場所があること」に重きを置いていたのです。
良かれと思って進めたことでも、事前の相談や対話が不足していると、大切な家族との間に深い溝を作ってしまうことがあります。
こうすれば防げた!具体的な対策
- 必ず事前に相談し、全員の合意を得る
何よりも大切なのは、送骨を検討している段階で、必ずご家族やご親族に相談することです。なぜ送骨を選びたいのか、ご自身の想いやお墓の現状を丁寧に伝え、全員が納得できる形を探しましょう。 - 「分骨」という選択肢を提示する
どうしても意見がまとまらない場合は、ご遺骨の一部を分ける「分骨(ぶんこつ)」も有効な解決策です。 一部を先祖代々のお墓に納め、残りを送骨して永代供養するなど、それぞれの想いを尊重する方法を検討しましょう。分骨は法律的にも宗教的にも問題ありません。
【トラブル事例2】費用トラブル「話が違う!追加料金を請求された」
<Bさんのケース>
インターネットで「送骨費用3万円~」という広告を見つけたBさん。費用の安さに惹かれて申し込みましたが、後日送られてきた請求書を見て驚きました。基本料金の他に、粉骨費用、事務手数料、納骨法要料などの名目で追加料金が上乗せされ、最終的な支払額は10万円を超えていたのです。
なぜこのトラブルは起きるのか?
送骨の費用トラブルは、「基本料金」や「〇万円~」といった表示だけを見て、最終的に支払う総額を確認しなかった場合に多く発生します。どこまでのサービスが料金に含まれているのか、業者側も意図的に分かりにくく表示しているケースがあるため、注意が必要です。
こうすれば防げた!具体的な対策
- 必ず「総額」の見積もりを書面で取る
契約前に、追加料金が一切発生しない「総額」の見積もりを必ず書面(メールやFAXでも可)で取得してください。口頭での説明だけでは「言った、言わない」のトラブルになりかねません。 - 料金内訳を細かく確認する
見積もりに記載されている項目を一つひとつ確認し、何にいくらかかるのかを明確にしましょう。特に以下の項目が含まれているかチェックが必要です。- 永代供養料
- 納骨料・法要料
- 粉骨費用(必要な場合)
- 事務手数料
- 彫刻料(希望する場合)
【トラブル事例3】遺骨の取り扱い「本当にちゃんと供養してくれるの?」
<Cさんのケース>
ご遺骨を送った後、業者から何の連絡もないまま数週間が経過。不安に思ったCさんが電話をしても、「ただいま担当者が不在で…」と曖昧な返答ばかり。本当にご遺骨が届いているのか、どのように扱われているのか分からず、毎日眠れないほど不安な日々を過ごしました。
なぜこのトラブルは起きるのか?
顔が見えない相手にご遺骨という唯一無二のものを預ける送骨では、業者の信頼性が何よりも重要です。 連絡が滞ったり、質問への回答が不誠実だったりする業者は、ご遺骨の管理体制もずさんである可能性があります。
最悪の場合、ご遺骨の紛失や破損といった取り返しのつかない事態につながるリスクもゼロではありません。
こうすれば防げた!具体的な対策
- 信頼できる業者を慎重に見極める(詳細は後述)
後ほど詳しく解説しますが、料金の安さだけで選ばず、情報開示の誠実さや実績、対応の丁寧さなど、複数の視点から業者を厳選することが不可欠です。 - ゆうパックの補償制度の限界を知っておく
ご遺骨を郵送できるのは、日本郵便の「ゆうパック」だけです。 ゆうパックには最大30万円の損害賠償制度がありますが、これはあくまで骨壷や梱包材など、金銭的価値が算出できるものに対する補償です。ご遺骨そのものは価格がつけられないため、補償の対象外となります。 このリスクを理解した上で、梱包は厳重に行いましょう。
【トラブル事例4】合祀後の後悔「やっぱりお墓に…でも、もう遺骨は取り出せない」
<Dさんのケース>
費用を抑えるため、ご遺骨をすぐに他の人と一緒に埋葬する「合祀(ごうし)」プランを選んだDさん。しかし、一周忌を過ぎた頃から、手を合わせる具体的な対象がないことに寂しさを感じるようになりました。「やはり小さくてもお墓を建ててあげればよかった」と後悔しましたが、一度合祀されたご遺骨は、もう二度と取り出すことはできませんでした。
なぜこのトラブルは起きるのか?
合祀は、送骨の中でも最も費用を抑えられる方法ですが、「一度納骨すると、二度と個別に取り出せない」という最大のデメリットがあります。 この点を十分に理解せず、費用面だけで安易に決めてしまうと、「お墓参りをする場所が欲しい」「手元で供養したい」といった後々の心境の変化に対応できなくなります。
こうすれば防げた!具体的な対策
- 合祀以外の永代供養も検討する
永代供養には、合祀以外にも様々な方法があります。例えば、一定期間(三十三回忌など)は個別の骨壷で安置され、その後合祀されるプランもあります。 少し費用は上がりますが、すぐには合祀されない選択肢を検討することで、将来の心境の変化に備えることができます。 - 「分骨」して一部を手元に残す
ここでも「分骨」は有効な手段です。ご遺骨の大部分を送骨して永代供養し、一部だけを小さな骨壷に入れて自宅で供養する「手元供養」という形もあります。 これなら、いつでも故人を身近に感じ、手を合わせることができます。
【トラブル事例5】納骨先の倒産・閉鎖「預けたお寺がなくなってしまった」
<Eさんのケース>
永代供養を約束してくれた納骨堂に送骨したEさん。数年後、風の噂でその納骨堂が経営難で閉鎖されたことを知りました。慌てて連絡を取りましたが、運営会社はすでに倒産。預けたご遺骨がどうなったのか、返還してもらえるのかも分からず、途方に暮れています。
なぜこのトラブルは起きるのか?
永代供養は、数十年という非常に長い期間にわたる契約です。しかし、お寺や霊園の経営も永遠ではありません。特に、民間企業が運営する納骨堂などは、経営状況の悪化により倒産・閉鎖するリスクがあります。
契約時に運営母体の安定性まで確認する人は少なく、見過ごされがちな重大なリスクです。
こうすれば防げた!具体的な対策
- 運営母体の経営状況を確認する
契約前に、運営母体がどのような組織かを確認しましょう。歴史のある宗教法人なのか、比較的新しい民間企業なのか。民間企業の場合は、設立年数や事業内容なども調べ、長期的に安定した運営が見込めるかを判断材料にしましょう。 - 極端に安い料金には注意する
相場よりも著しく安い永代供養料を提示している場合、将来の管理費まで考慮されていない可能性があります。 豪華な施設や過度な広告宣伝を行っている場合も、その投資が経営を圧迫していないか、慎重に見極める必要があります。
葬祭カウンセラーが教える!後悔しない送骨業者の選び方3つのチェックポイント
数ある送骨業者の中から、本当に信頼できる一社を見つけるにはどうすればよいのでしょうか。
私がCPOとしてサービス開発に携わる視点も交え、絶対に確認すべき3つのポイントを解説します。
【ポイント1】情報開示は誠実か?(料金・供養方法の透明性)
信頼できる業者は、利用者にとって不利益になりかねない情報も隠さず、誠実に開示しています。
<チェックリスト>
☐ 料金プランが総額表示で、追加費用の有無が明記されているか?
☐ どのような方法で、いつ、どこで供養されるのかが具体的に記載されているか?(例:〇〇寺の合祀墓にて、受け入れ後1ヶ月以内に納骨)
☐ 会社の住所、代表者名、電話番号が記載された「特定商取引法に基づく表記」がホームページにあるか?
特に「特定商取引法に基づく表記」は、通信販売を行う事業者に義務付けられているものです。これがない業者は論外と考えましょう。
【ポイント2】実績と実態はあるか?(物理的な所在と第三者の評価)
インターネット上だけのやり取りだからこそ、その業者が物理的にきちんと存在し、活動しているかを確認することが重要です。
<チェックリスト>
☐ ホームページに記載の住所をGoogleマップなどで検索し、実際に事務所や寺院が存在するか確認する。
☐ 電話番号は固定電話か? 問い合わせ窓口は平日の日中だけでも開設されているか?
☐ Googleマップの口コミや、SNS、第三者のブログなどで評判を調べてみる。
☐ (可能であれば)ご遺骨の持ち込みや、粉骨への立ち会いに対応しているか?
「立会い粉骨」に対応している業者は、ご遺骨の取り扱いに自信がある証拠とも言え、信頼性を測る一つの指標になります。
【ポイント3】親身な対応をしてくれるか?(質問への回答と共感力)
最終的にサービスの質を決めるのは「人」です。問い合わせ時の対応から、その業者の姿勢を見極めましょう。
<チェックリスト>
☐ こちらの初歩的な質問や不安に対し、専門用語を使わず、丁寧に分かりやすく答えてくれるか?
☐ メリットだけでなく、デメリット(合祀したら取り出せない等)もきちんと説明してくれるか?
☐ 契約を急かしたり、特定のプランを強引に勧めたりしないか?
大切なご遺骨を預けるのですから、「この人になら任せられる」と心から思える業者を選ぶことが、何よりの後悔対策になります。
送骨の具体的な流れと注意点【5ステップで解説】
信頼できる業者が見つかったら、いよいよ送骨の手続きに進みます。ここでは、一般的な流れを5つのステップで解説します。
ステップ1:送骨先(永代供養先)を決定する
まずは、これまでのポイントを参考に、ご遺骨を託す寺院や霊園、専門業者を決定し、申し込みを行います。運営母体には、寺院が直接行っているもの、NPO法人、民間企業など様々です。 サービス内容や費用を比較検討し、納得のいく依頼先を選びましょう。
ステップ2:必要書類を準備する
送骨し、納骨する際には、法律で定められた書類が必要です。
- 火葬後、まだ一度も納骨していないご遺骨の場合
→「火葬許可証(埋葬許可証)」が必要です。 火葬場で発行され、通常は骨壷と一緒に保管されています。 - すでにお墓や納骨堂に納めているご遺骨の場合
→「改葬許可証」が必要です。 現在お墓がある市区町村の役所で手続きを行います。
これらの書類の原本を、ご遺骨と一緒に送る必要があります。コピーでは受け付けてもらえないので注意しましょう。
ステップ3:ご遺骨を丁寧に梱包する
ご遺骨を安全に送るため、丁寧に梱包します。これは故人様と向き合う大切な時間でもあります。
1. 骨壷の蓋を固定する
湿気防止のため、骨壷の蓋と本体の継ぎ目を布テープなどでしっかりと目張りします。
2. 骨壷を包む
骨壷を風呂敷やタオルで包み、さらに新聞紙やエアキャップ(プチプチ)などの緩衝材で厚く包みます。
3. 箱に入れる
骨壷の大きさに合った段ボール箱に入れ、隙間ができないように緩衝材を詰めます。箱の中で骨壷が動かないようにするのがポイントです。
4. 書類を同封する
ステップ2で準備した「火葬許可証」または「改葬許可証」を封筒に入れ、忘れずに同封します。
多くの送骨サービスでは、専用の「送骨キット」が用意されているので、それを利用すると安心です。
ステップ4:「ゆうパック」で発送する
梱包が完了したら、郵便局の窓口へ持ち込み、「ゆうパック」で発送します。
【重要】遺骨を郵送できるのは「ゆうパック」だけ!
日本国内でご遺骨を合法的に郵送できるのは、日本郵便の「ゆうパック」のみです。 他の宅配業者は約款で遺骨の取り扱いを禁止しているため、利用できません。
発送する際は、以下の点に注意してください。
- 品名欄: 「遺骨」「焼骨」とはっきりと記載します。正直に書くことで、配送員がより丁寧に扱ってくれることが期待できます。
- 発送場所: コンビニなどではなく、郵便局の窓口から発送することをおすすめします。 窓口であれば、より確実に取り扱ってもらえます。
ステップ5:納骨完了の連絡を待つ
ご遺骨が依頼先に到着し、無事に納骨・供養が完了すると、業者から「納骨完了通知書」や「永代供養許可証」といった書類が送られてきます。これを受け取って、一連の流れは完了です。
よくある質問(FAQ)
最後に、送骨に関して特に多く寄せられる質問にお答えします。
Q: 送骨の費用相場はどれくらいですか?
A: 供養方法によって大きく異なります。他のご遺骨と一緒になる「合祀」であれば3万円~10万円程度が目安です。 個別に安置する期間がある場合や樹木葬などは10万円以上になることもあります。必ず総額を確認しましょう。
Q: 親族に反対された場合はどうすれば良いですか?
A: まずは、なぜ送骨を選びたいのか、ご自身の想いを丁寧に伝えることが大切です。それでも難しい場合は、ご遺骨の一部をお墓に納め、残りを送骨する「分骨」という方法もあります。 全員が納得できる形を探ることが重要です。
Q: 送った後、お参りはできますか?
A: 依頼先によります。合祀墓など、共同の参拝スペースが設けられている場所であればお参り可能です。ただし、個別のお墓のようにはいかない場合がほとんどです。契約前に必ず確認しましょう。
Q: 遺骨を郵送することは法律的に問題ないのでしょうか?
A: はい、法律的に問題ありません。 ただし、ご遺骨を郵送できるのは日本郵便の「ゆうパック」のみと定められています。 他の宅配業者は利用できませんのでご注意ください。
Q: 墓じまいした複数の遺骨をまとめて送骨することも可能ですか?
A: はい、可能です。墓じまいに伴い、ご先祖様の複数のご遺骨をまとめて送骨される方は多くいらっしゃいます。遺骨の数によって費用が変わる場合があるので、事前に依頼先へ確認しましょう。
まとめ
送骨は、現代の私たちにとって非常に合理的で、心強い選択肢の一つです。
しかし、その手軽さの裏にあるリスクや注意点を理解し、丁寧な準備をすることが、後悔しないための何よりの鍵となります。
最も大切なのは、故人を想うお気持ちと、ご家族・ご親族との対話です。この記事が、皆様の不安を少しでも和らげ、心から納得できるご供養の形を見つける一助となれば幸いです。
もし、具体的なことでお困りでしたら、一人で抱え込まず、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。
関連する記事
買う とどける
様々なサービスを購入する












Comment
また、日本葬祭アカデミー教務研修室にて「葬祭カウンセラー」資格を取得し、エンディング領域における専門性を活かした取り組みを進めている。
関連記事一覧を見る