樹木葬
樹木葬と散骨の違いとは?メリット・デメリット比較で選び方がわかる
「お墓のことで悩み始めたけれど、樹木葬と散骨、どちらを選べばいいのか分からない…」
そんなお悩みを抱えていませんか?
はじめまして。株式会社goennでCPOを務め、葬祭カウンセラーとして日々多くの方のご相談に乗っている新原です。
近年、自然に還る新しい供養の形として注目される樹木葬と散骨ですが、実は全く異なる特徴を持っています。
この記事を読めば、両者の本質的な違いから、メリット・デメリット、費用、そして何より「あなたに合った選び方」まで、専門家の視点から分かりやすくご理解いただけます。
大切な方を想う気持ち、そしてご自身の未来を考えるそのお気持ちに寄り添い、後悔のない選択ができるよう、心を込めてお手伝いします。
【この記事の結論】一目でわかる!樹木葬と散骨の5つの違い
| 比較項目 | 樹木葬 | 散骨 |
|---|---|---|
| ① お墓の有無 | あり(樹木が墓標になる) | なし(特定の墓標はない) |
| ② 遺骨の扱い | 遺骨を骨壺などで「埋蔵」する | 遺骨を粉末状にして「散布」する |
| ③ 費用相場 | 約5万円~150万円 | 約5万円~30万円 |
| ④ 親族の理解 | 「お墓」の形式なので得やすい | 「お墓がない」ことに抵抗感を示す場合も |
| ⑤ やり直し | 合祀前なら可能な場合もある | 一度撒くと不可能 |

【結論】一目でわかる!樹木葬と散骨の最大の違いは「お墓の有無」です
樹木葬と散骨、どちらも「自然葬」という大きな括りでは同じですが、その本質は全く異なります。
様々な違いがありますが、まず覚えていただきたい最大の違いは「お墓(手を合わせる対象)が残るか、残らないか」という点です。
樹木葬:樹木を墓標とする「お墓」の一種
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花をシンボル(墓標)とするお墓の一種です。
法律上「墓地」として許可された場所に遺骨を「埋蔵」するため、お参りする対象が明確に存在します。
多くの場合、永代供養が付いているため、お墓の承継者がいなくても安心できるのが特徴です。
参考: 墓地、埋葬等に関する法律(◆昭和23年05月31日法律第48号)
散骨:遺骨を自然に還す「葬送」の一つの方法
散骨は、粉末状にした遺骨を海や山などに撒き、自然に還す葬送の一つの方法です。
特定のお墓を持たず、物理的な墓標はありません。
そのため、お参りは散骨した場所に向かって心の中で手を合わせる形になります。
比較表で見る樹木葬と散骨の5つの違い
両者の違いをより具体的に理解するために、5つのポイントで比較してみましょう。
| 比較項目 | 樹木葬 | 散骨 |
|---|---|---|
| ① お墓の有無 | あり(樹木などが墓標となる) | なし(特定の墓標はない) |
| ② 遺骨の扱い | 埋蔵(墓地に遺骨を納める) | 散布(自然に遺骨を還す) |
| ③ 法的根拠 | 墓地、埋葬等に関する法律 | 法律の規定なし(節度ある実施が求められる) |
| ④ お参りの仕方 | 特定の場所(シンボルツリー等)にお参り | 散布した場所の方角を向いてお参り |
| ⑤ 遺骨の返還 | 合祀前なら可能な場合もある | 一度撒くと不可能 |
このように、似ているようで全く異なる特徴を持つのが樹木葬と散骨です。
それぞれの詳細について、さらに深く見ていきましょう。
樹木葬とは?3つの種類と費用相場を葬祭カウンセラーが解説
樹木葬は、自然志向の高まりや承継者問題などを背景に、近年非常に人気が高まっている供養方法です。
一言で樹木葬といっても、その形態は様々です。
樹木葬の主な3つの種類
樹木葬は、その霊園の環境や雰囲気によって、大きく3つのタイプに分けられます。
都市型・公園型
交通の便が良い都市部の霊園内にあり、美しい庭園(ガーデン)のように整備されているタイプです。管理が行き届いており、お参りしやすいのが特徴です。
里山型
自然の山林をそのまま活かし、よりありのままの自然に近い環境で眠れるタイプです。自然に還りたいという想いを強くお持ちの方に選ばれる傾向があります。
ガーデニング型
都市型・公園型の一種ですが、特にバラや季節の草花など、色とりどりの花々に囲まれた明るい雰囲気が特徴のタイプです。
埋葬方法による違い:合祀・集合・個別
遺骨の納め方によっても種類が分かれ、費用が大きく変わる重要なポイントです。
合祀(ごうし)型
骨壺から遺骨を取り出し、他の方の遺骨と一緒に埋葬する方法です。費用は最も抑えられますが、一度埋葬すると遺骨を取り出すことはできません。
- 費用相場:5万円~30万円
集合型
シンボルとなる大きな樹木は共有ですが、その周りの区画に個別に遺骨を埋葬する方法です。
- 費用相場:20万円~50万円
個別型
一区画ごとに個別のシンボルツリーやプレートが与えられる方法です。夫婦や家族単位で利用でき、プライベート感が保たれます。ただし、一定期間が過ぎると合祀されるプランが一般的です。
- 費用相場:20万円~150万円
樹木葬にかかる費用の内訳と相場
樹木葬の全国的な費用相場は約5万円~150万円と幅広く、主に以下の費用が含まれます。
1. 永代使用料
土地(区画)を使用する権利の費用です。永代供養料が含まれている場合が多いです。
2. 埋葬料
納骨作業にかかる費用、いわゆる手数料です。
3. 年間管理費
霊園の維持管理費用です。永代供養料に含まれ、不要な場合も多いですが、個別区画の利用期間中は発生することもあります。
4. 銘板彫刻料
名前などを刻むプレート代で、オプションの場合もあります。
散骨とは?主な種類と法律、費用について
散骨は、故人の「雄大な自然に還りたい」という想いを最も純粋な形で叶えることができる方法です。
散骨の主な3つの種類
散骨は、遺骨を撒く場所によって主に以下の3つの種類に分けられます。
| 種類 | 方法・特徴 |
|---|---|
| 海洋散骨 | 船で沖合に出て、海に遺骨を撒く最も一般的な方法です。思い出の海や好きな海を選ぶ方もいらっしゃいます。 |
| 山林散骨 | 事業者が所有・管理し、許可を得た私有地や山林に遺骨を撒く方法です。誰でも自由に山へ撒けるわけではないので注意が必要です。 |
| 空中散骨 | セスナ機、ヘリコプター、大きなバルーンやロケットを使って、空や宇宙空間に遺骨を散布する方法です。(バルーン葬・宇宙葬など) |
散骨に関する法律と守るべきマナー
「散骨は違法ではないの?」というご質問をよく受けます。
結論から言うと、現在の日本に散骨を直接規制する法律はありません。
ただし、これは無条件にどこでも散骨して良いという意味ではありません。
法務省は1991年に「葬送のための祭祀として、節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪にはあたらない」との見解を示しています。 また、厚生労働省も2021年に事業者向けのガイドラインを公表しています。
参考: 日本海洋散骨協会ガイドライン|一般社団法人日本海洋散骨協会
この「節度」を守るために、以下のマナーが不可欠です。
- 遺骨を2mm以下の粉末状にすること(粉骨)
遺骨と分からない状態にすることが最も重要です。- 場所への配慮
海水浴場や漁場、他人の私有地、観光地などを避け、周辺住民や関係者に迷惑がかからない場所を選ぶ必要があります。- 自治体の条例を確認
一部の自治体では散骨を規制する条例を設けている場合があります。
これらの専門的な判断や作業が必要なため、個人で行うのは非常に困難です。トラブルを避け、故人を穏やかに見送るためにも、信頼できる専門業者に依頼することが最も安心です。
散骨にかかる費用の内訳と相場
散骨の費用相場は約5万円~30万円程度です。 主な内訳は以下の通りです。
粉骨費用
遺骨をパウダー状にする費用です。専門業者に依頼するのが一般的です。
- 費用相場:1万円~3万円程度
散骨実施費用
船のチャーター代や人件費などです。散骨の方法によって大きく変動します。
- 代行委託(業者に全て任せる):5万円前後~
- 合同乗船(複数の家族と乗り合う):10万円~20万円前後
- 個別チャーター(一隻貸し切り):20万円前後~
各種証明書発行費用
散骨した場所の緯度経度などを記した証明書を発行してくれる業者が多いです。
【メリット・デメリット比較】樹木葬と散骨、どちらがあなたに合っている?
それぞれの特徴を理解した上で、メリットとデメリットを比較してみましょう。ご自身やご家族にとって、どちらがより合っているかを考えるヒントになります。
樹木葬のメリット・デメリット
メリット
- お参りする対象が明確 → シンボルツリーがあるため、手を合わせる場所がはっきりしており、心の拠り所になります。
- 承継者が不要な場合が多い → 永代供養付きが多く、子どもに負担をかけたくない方に適しています。
- 比較的、親族の理解を得やすい → 「お墓」という形式が残るため、伝統的な価値観を持つ方にも受け入れられやすい傾向があります。
デメリット
- 合祀されると遺骨を取り出せない → 一度合祀されると、改葬(お墓の引越し)はできなくなります。
- 自然に還るとは限らない → 骨壺のまま納骨するなど、施設によっては必ずしも遺骨が土に還るわけではありません。
- 交通の便が悪い場合も → 特に里山型は、お参りに行きたくても高齢になると難しくなる可能性があります。
散骨のメリット・デメリット
メリット
- 完全に自然に還ることができる → 故人の「自然に還りたい」という希望を最も純粋な形で叶えられます。
- 費用を抑えられることが多い → お墓を持たないため、初期費用やその後の維持管理費がかかりません。
- 場所の制約が比較的少ない → 思い出の海など、故人にゆかりのある場所を選べる可能性があります。
デメリット
- 一度撒くと遺骨は戻らない → 「やはりお墓を建てたい」と思っても、絶対にやり直しができません。
- 親族の理解が得にくい場合がある → 「お墓がないなんて」「手を合わせる場所がないのは寂しい」と反対されるケースも少なくありません。
- お参りの対象が曖昧になりがち → 手を合わせる具体的な場所がなく、寂しさを感じるご遺族もいらっしゃいます。
あなたにとっての最適な選択とは
これらのメリット・デメリットを踏まえると、どのような方にそれぞれが向いているかの輪郭が見えてきます。
もし、あなたがお墓という「形」を残し、ご家族が定期的にお参りできる場所を大切にしたいとお考えなら、樹木葬が適しているでしょう。親族からの理解も得やすく、心の拠り所が明確にあるという安心感は何物にも代えがたいものです。
一方で、故人の「自然に還りたい」という強い想いを何よりも尊重し、お墓という形式にとらわれたくないのであれば、散骨がその願いを叶える選択肢となります。より自由で、故人らしい旅立ちを見送ることができます。
ただし、どちらの方法も一度行うと元に戻すことは難しいという共通点があります。ご自身の気持ちだけでなく、ご家族やご親族との対話も非常に重要です。
【後悔しない選び方】葬祭カウンセラーからの5つのチェックポイント
ここまで様々な情報をお伝えしてきましたが、最終的に「自分たちはどうすればいいのか」と迷われる方も多いでしょう。
葬祭カウンセラーとして、後悔のない選択をするために、ぜひ考えていただきたい5つのポイントをお伝えします。

1. 「お参りの形」をどう考えますか?
これが最も重要な原点です。
「特定の場所があって、そこに行けば故人に会えると感じられる方が安心する」という方は樹木葬が向いています。
一方、「特定の場所にこだわらず、広い自然に向かって故人を偲びたい」というお考えなら散骨が適しているでしょう。
また、ご自身だけでなく、ご家族がお参りしやすいかどうかも大切な視点です。
2. ご家族やご親族の理解は得られていますか?
供養はご自身だけのものではありません。
特に散骨は、まだ新しい考え方のため、事前に十分な話し合いが必要です。
「お墓がないなんてとんでもない」と考えるご親族がいるかもしれません。
もし話し合いが難しい、あるいは反対が予想される場合は、お墓という形が残る樹木葬の方が、後のトラブルを避けやすい傾向があります。
3. 故人様はどんなお人柄でしたか?
「華やかなお花が大好きだった」「静かな森の中で眠るのが夢だと話していた」「若い頃ヨットに乗って海に出るのが好きだった」など、故人様のお人柄や生前の言葉を思い返してみましょう。
故人様の想いを尊重することが、残されたご家族にとって最も後悔の少ない、納得のいく選択に繋がります。
4. 将来、改葬(お墓の引越し)の可能性はありますか?
「今は良いけれど、将来的に故郷の近くにお墓を移すかもしれない」といった可能性が少しでもあるなら、慎重な判断が必要です。
散骨は遺骨が戻りません。
樹木葬も、合祀されてしまうと遺骨の取り出しは不可能です。もし改葬の可能性があるなら、個別安置期間が長く設定されている樹木葬プランを選ぶなどの検討が必要です。
5. 全ての遺骨を同じ方法で供養する必要がありますか?
実は、全ての遺骨を同じ方法で供養しなければならない、という決まりはありません。
「一部は故人の希望通り海へ散骨し、一部は手元供養として小さな骨壺に入れたり、お参りできる場所として樹木葬に納めたりする」という分骨も一つの素晴らしい選択肢です。
これにより、故人の希望と、ご遺族の「お参りしたい」という気持ちの両方を大切にできます。
よくある質問(FAQ)
最後に、皆様からよくいただくご質問にお答えします。
Q: 樹木葬や散骨に、宗教や宗派の決まりはありますか?
A: ほとんどの樹木葬や散骨は、宗教・宗派を問わずに利用できます。 これも、現代のライフスタイルに合っていると選ばれる理由の一つです。ただし、寺院が運営する樹木葬などでは、その寺院の宗派であることが条件の場合も稀にありますので、事前の確認は大切です。
Q: 散骨は自分たちだけでもできますか?
A: 法律上は可能ですが、専門的な知識がないとトラブルの原因になるため、お勧めできません。遺骨を2mm以下に粉骨する作業は精神的・物理的に大きな負担となりますし、散骨場所の選定や周辺への配慮を怠ると、法律や条例に抵触する可能性もあります。 安心して故人様をお見送りするためにも、信頼できる専門業者に依頼することを強くお勧めします。
Q: 樹木葬のシンボルツリーが枯れてしまったらどうなりますか?
A: 霊園や寺院の管理者が、植え替えなどの対応をしてくれるのが一般的です。これは年間管理費や永代供養料に含まれているサービスの一部です。契約前に、そうした保証についても確認しておくと、より安心でしょう。
Q: 海洋散骨をした後、お参りはどうすれば良いですか?
A: 特定の場所はありませんが、散骨した海域の近くの海岸から手を合わせたり、散骨業者によっては命日などに合わせて周遊する「メモリアルクルーズ」を企画していたりします。 また、散骨した場所の緯度経度が記載された「散骨証明書」を心の拠り所にする方もいらっしゃいます。
Q: 「墓じまい」をして、遺骨を樹木葬や散骨にすることはできますか?
A: はい、可能です。これを「改葬(かいそう)」と呼びます。 現在のお墓がある自治体から「改葬許可証」を発行してもらうなど、所定の手続きが必要です。 墓じまいから樹木葬・散骨まで一貫してサポートしてくれる専門家もいますので、まずは相談してみましょう。
まとめ
樹木葬と散骨、どちらも故人を自然に還したいという優しい想いから生まれた、素晴らしい供養の形です。
その最大の違いは「お墓」という拠り所が残るかどうか。
手を合わせる具体的な場所を大切にしたい、ご親族の理解も得やすい方が良いと考えるなら樹木葬。
より自由に、故人の想いを尊重して雄大な自然そのものに還してあげたいと願うなら散骨が、それぞれ適していると言えるでしょう。
何よりも大切なのは、故人様のお気持ちと、残されたご家族のお気持ち、その両方に真摯に耳を傾けることです。
この記事が、あなたにとって最良の選択をするための一助となれば、葬祭カウンセラーとしてこれほど嬉しいことはありません。
もし迷われたらいつでも、私たち専門家にご相談ください。あなたと故人様のご縁を、最も良い形で結ぶお手伝いをさせていただきます。
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また、日本葬祭アカデミー教務研修室にて「葬祭カウンセラー」資格を取得し、エンディング領域における専門性を活かした取り組みを進めている。
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