仏壇と位牌の違いとは?それぞれの意味と本当に必要かを考える

2026.09.19
2026.09.19

「仏壇と位牌、どちらも故人を祀るもの」と思っていた方は多いはずです。

株式会社goenn代表の𫝆橋計貴(いまはし かずき)です。
事業を通じて、寺院や石材店、納骨堂の現場に関わっています。

先に結論を言うと、仏壇は本尊を祀る「場所」、位牌は故人の「よりどころ」で、役割がまったく違います。
そして、どちらも「なければ供養できない」ものではありません。

この記事では、両者の違い、宗派ごとの考え方、必要かどうかの判断軸、位牌を作る・預ける・手放す費用を順に解説します。

【この記事の結論】仏壇と位牌の違い・必要性がわかる5つのポイント

  • 仏壇は「本尊を祀る祭壇」、位牌は「故人の戒名などを記し、故人を偲ぶ対象」です。
  • 仏壇と位牌は必ずセットで揃える必要はなく、どちらもなくても写真や手元供養で故人を偲べます。
  • 浄土真宗では原則として位牌を用いず、「法名軸・過去帳」を使います。
  • 必要かどうかは「宗派と菩提寺」「家族の気持ち」「置き場所と引き継ぐ人」の順に考えます。
  • 本位牌を作る場合は「四十九日法要まで」が一般的で、納品に1〜3週間かかることもあるため早めに注文します。
仏壇と位牌は役割が違う
仏壇の中心は本尊です。位牌の有無や扱いは宗派によって異なるため、地域や寺院の慣習も含めて菩提寺に確認すると安心です。

仏壇と位牌の違いをひと言でいうと?仏壇は「本尊を祀る場」、位牌は「故人の依代」

結論:仏壇は「お参りする場所」、位牌は「お参りする相手」

仏壇は、本尊(ほんぞん。その宗派で信仰と礼拝の中心となる仏さまや曼荼羅)を祀るための祭壇です。

位牌(いはい)は、故人の戒名や亡くなった日を記した木の札です。
多くの宗派では、故人の魂が宿る依代(よりしろ)と考えられてきました。

仏壇が「家」で、位牌はそこに迎える「故人」にあたります。
仏壇そのものの意味や歴史は、仏壇とは?何のために家に置くのか、意味と役割をやさしく解説にまとめています。

比較表で見る仏壇と位牌の違い(役割・祀る対象・宗派差・なくても供養できるか)

仏壇位牌
何のためのもの本尊を祀る場故人を偲ぶ対象
中心にあるもの本尊(仏像や掛け軸)故人の戒名・没年月日
いつ用意するか決まりはない四十九日までが一般的
宗派による違いどの宗派も用いる浄土真宗は教義上、原則用いない
なくても供養できるかできるできる

「仏壇の中に位牌を置く」のが基本形。ただし主役は本尊

曹洞宗の公式サイトお仏壇のまつり方では、本尊を上段中央に祀り、先祖の位牌はその左右に置くと説明されています。
仏壇の主役は本尊です。
「仏壇は位牌を置くための家具」という思い込みを外すと、選べる形が増えます。

位牌とは?戒名が記された木札の意味と、白木位牌から本位牌への流れ

位牌に書かれていること。表に戒名と没年月日、裏に俗名と行年

位牌には、戒名(かいみょう。仏弟子としての名前)、俗名(生前の名前)、亡くなった年月日、行年(ぎょうねん。亡くなった年齢)を記します。
表に戒名と没年月日、裏に俗名と行年という配置が多いものの、地域や寺院で異なるので菩提寺や販売店に確認してください。

位牌のルーツは中国の儒教。鎌倉時代に禅宗とともに日本へ

コトバンクに収録された各辞典の「位牌」の項によると、位牌は中国の儒教で祖先の名を記した札(神主)の習慣が転じたものという説があり、禅宗とともに日本へ伝わり、庶民に広まったのは江戸時代の元禄以降とされています。
伝来の時期は鎌倉時代とする解説が多く見られます。

起源には複数の説がありますが、日本の暮らしの中で形を変えてきた習慣である点は共通しています。
だから現在の扱いも宗派や寺院で違い、「絶対に必要」とは一律に言い切れないのです。

白木位牌は四十九日までの「仮の位牌」。本位牌に作り替えて魂入れをする

葬儀の祭壇に置かれる白木の位牌は、仮のものです。

一般的な流れは次の通りです。

  • 葬儀後、仏壇店や通販で本位牌を注文する
  • 四十九日法要で開眼供養(かいげんくよう。魂入れ)をしてもらい、白木位牌から魂を移す
  • 白木位牌は菩提寺(法要を頼んでいるお寺)でお焚き上げしてもらう

文字入れと配送を含めて納品まで1〜3週間かかることがあるので、法要の日を伝えて納期を販売店に確認し、早めに注文してください。

本位牌の種類:塗位牌・唐木位牌・モダン位牌・繰出位牌

本位牌には、漆を塗った塗位牌、黒檀や紫檀の木目を活かした唐木位牌、家具になじむモダン位牌があります。
先祖の位牌が増えたら、札板を何枚も収められる繰出位牌(くりだしいはい)や「○○家先祖代々」にまとめる方法があり、曹洞宗の公式サイトでも案内されています。

仏壇と位牌はセットで必要?「仏壇だけ」「位牌だけ」はありなのか

「仏壇だけ・位牌なし」はあり。本尊を祀る仏壇として成り立つ

仏壇の中心は本尊なので、位牌がなくても仏壇としての意味は失われません。
浄土真宗では位牌を用いないため、「仏壇だけ」がむしろ正式な形です。

他の宗派でも、本尊だけを祀る家庭はあります。
たとえば「位牌は長男の家にあるが、自分の家にも仏壇を置きたい」という次男・三男の場合、本尊だけの仏壇を置くという答えになります。

「位牌だけ・仏壇なし」もあり。棚の上に安置するときの3つの注意点

仏壇がなくても、位牌を棚の上に安置して手を合わせる家庭はあります。
本尊をどう祀るかは宗派や菩提寺の考え方によるので、一言相談すると安心です。
棚の上に置くときの注意点は次の通りです。

  • 床に直置きせず、お参りする姿勢で見下ろさない高さの棚に置く
  • 清潔な布や台を敷き、水と花を供える場所を確保する
  • 玄関や水回りなど、ほこりや湿気の多い場所を避ける

ミニ仏壇やステージ型の供養スペースを使う方法は、仏壇はいらない?置かない家庭が増える理由と後悔しない考え方で紹介しています。

浄土真宗はなぜ位牌を使わない?「往生即成仏」の教えと法名軸・過去帳

浄土真宗では、亡くなった人はすぐに阿弥陀如来の浄土に往生して仏になると考えます。
浄土真宗東本願寺派の本山東本願寺はよくある質問で、「お位牌に魂が宿り、それを供養していく」という教えではないと説明しています。

代わりに使うのが、故人の法名を記した掛け軸の法名軸(ほうみょうじく)と、先祖代々の法名や命日を記す帳面の過去帳(かこちょう)です。
地域やお寺の慣習で位牌を置く浄土真宗の家庭もあるので、迷ったら菩提寺に聞きましょう。

宗派別・「仏壇だけ」「位牌だけ」の可否早見表

位牌を作るか仏壇だけはあり?位牌だけはあり?位牌の代わり
浄土真宗教義上、原則作らないあり(正式な形)想定されない法名軸・過去帳
浄土宗・曹洞宗・真言宗・日蓮宗など作るのが一般的あり(本尊のみ)家庭による。本尊の扱いは菩提寺に相談古い位牌を整理するときに過去帳へ
無宗教任意任意任意俗名位牌・写真など

過去帳は位牌の置き換えではなく、増えた位牌を整理するための仏具です。

仏壇と位牌は本当に必要?「必要な人」「なくても困らない人」を分ける3つの判断軸

結論:どちらも「なければ供養できない」ものではない。ただし決める順番がある

仏壇や位牌を置くことを定めた法律はなく、宗派によって扱いも違います。
「位牌を作らないと故人が帰る場所がなくなる」という言い方は、一部の宗派に根づいた考え方で、浄土真宗はその立場を取りません。
だからこそ、「作るべきか」より先に、次の3つを順番に確認してほしいのです。

判断軸1:宗派と菩提寺。浄土真宗なら位牌は原則不要、他宗派は菩提寺に相談

菩提寺があるなら、住職に相談するのが最短です。

悩ましいのは、菩提寺がなく、葬儀社の紹介で来た僧侶に戒名だけ授かったケースです。
「戒名はあるけれど、位牌をどこで作ればいいか分からない」という声は、現場でよく聞きます。
この場合は仏具店や通販で本位牌を作り、開眼供養は葬儀社を通じて依頼できます。

判断軸2:家族の気持ち。「手を合わせる相手」が欲しいかどうか

位牌は、残された人が「向かう先」を持つための道具でもあります。

ただ、向かう先は写真や遺品、手元供養(遺骨の一部を自宅で保管する供養)でも作れます。
家族で温度差があるときは、欲しい人の気持ちを優先しつつ、手入れと引き継ぎの担い手を先に話し合ってください。

判断軸3:住環境と引き継ぎ。「置けるか」「誰が継ぐか」を先に考える

仏壇は場所を取りますが、位牌だけなら棚の一段で足ります。
引き継ぎの問題は仏壇も位牌も同じで、民法上は「祭祀財産」にあたり、先代の指定や地域の慣習で決まる承継者が扱いを決めます。
継ぐ人がいない場合の預け先や見送り方は、次の章で説明します。

𫝆橋からの提案:迷ったら「位牌だけ小さく」から始めてもいい

四十九日までに決めきれないなら、まず本位牌を棚の上に安置し、仏壇は後から考えて構いません。
「仏壇を買わないと位牌が置けない」という思い込みが、決断を重くしています。

逆に「位牌も作らない」と決めた場合は、白木位牌の扱いだけは済ませておいてください。
菩提寺か葬儀社に相談してお焚き上げしてもらうと、気持ちの区切りがつきます。

位牌をどうするか迷ったら。作る・預ける・手放す、それぞれの手順と費用の目安

作る場合:位牌本体+文字入れ+開眼供養で、合計の目安は数万円

位牌を作る費用は、大きく4つに分かれます。

項目目安(2026年時点)
位牌本体塗位牌2万〜5万円、唐木位牌3万〜8万円、モダン位牌2万〜6万円
文字入れ新規なら6千〜1万円前後、既存の位牌への追加彫りは1万6千〜2万円前後(通販は本体込みも)
開眼供養のお布施1万〜5万円(四十九日法要と同時なら法要分にまとめる例も)
白木位牌のお焚き上げ菩提寺なら無料が多い

本体、文字入れ、お布施を合わせて数万円から十数万円が目安です。
数値は仏壇店と位牌通販の公表価格を基にしており、地域や寺院で変わります。

戒名がなくても作れる「俗名位牌」という選択肢

無宗教の方や戒名を授からなかった方も、位牌は作れます。
表に「鈴木太郎之霊位」のように生前の名前を記す俗名位牌で、仏具店や通販で頼めます。

預ける場合:位牌の永代供養・位牌堂という選択肢

自宅に置けない、継ぐ人がいない場合は、お寺の位牌堂に預けて供養してもらう「位牌の永代供養」があります。
費用は1位牌あたり数万円から50万円程度まで幅があり、安置の期間も十数年から数十年まで寺院で違います。

「永代」といっても永久に個別安置されるとは限らず、三十三回忌などを区切りにお焚き上げする契約もあるので、安置期限とその後の供養方法を契約前に確認してください。
預けるのは位牌であって、遺骨とは別の話です。

手放す場合:閉眼供養(魂抜き)をしてお焚き上げへ

本位牌を手放すときは、閉眼供養(へいげんくよう。魂抜き)をしてもらい、お焚き上げします。
お布施は1万〜3万円、業者のお焚き上げは5千〜1万円が目安です。
浄土真宗は位牌に魂が宿るとは考えないため閉眼供養という形は取らず、位牌や仏壇の扱いは菩提寺に相談する形になります。

仏壇じまいの流れと費用は、前述の「仏壇はいらない?」の記事にまとめてあります。

実家の仏壇と位牌、どちらか片方だけ引き継ぐのもあり

「仏壇は大きくて置けないが、位牌だけは持ち帰りたい」という相談は多く寄せられます。
仏壇だけ閉眼供養して処分し、位牌は自宅の棚やミニ仏壇に移す分け方はできます。
セットで抱え込まなくてよい、と知るだけで選べる道が増えます。

よくある質問(FAQ)

Q. 位牌があれば仏壇はいらないのですか?

いらない、という答えもあります。
仏壇を置くよう定めた法律はなく、位牌だけを棚に安置して手を合わせている家庭もあります。
本尊をどう祀るかは宗派で考え方が違うので、菩提寺に相談したうえで決めてください。

Q. 仏壇があれば位牌はいらないのですか?

宗派によります。
浄土真宗は位牌を用いず、法名軸や過去帳を使うので「仏壇だけ」が正式です。
それ以外の宗派では位牌を祀るのが一般的ですが、法律上の義務はありません。

Q. 浄土真宗なのに実家に位牌があります。間違いですか?

間違いとは言い切れません。
地域やお寺の慣習、先代の判断で位牌がある家庭はあります。
菩提寺に相談し、法名軸や過去帳に切り替えるか、そのまま祀るかを決めれば十分です。

Q. 位牌を作らないと故人の魂はどうなりますか?

「位牌に魂が宿る」は一部の宗派の考え方で、浄土真宗はその立場を取りません。
写真や手元供養など、手を合わせる先があれば供養は続けられます。

Q. 白木位牌はいつまで置いておけばいいですか?

四十九日法要までが一般的です。
本位牌を作らない場合も、白木のまま長く置かず、菩提寺か葬儀社にお焚き上げを頼みましょう。

Q. 戒名がなくても位牌は作れますか?

作れます。
生前の名前で作る俗名位牌があり、仏具店や通販で注文できます。

Q. 位牌と遺影、どちらに手を合わせればいいですか?

どちらでも構いません。
真宗大谷派のように仏壇の中に写真を置かない宗派もあるので、仏壇に写真を入れるかは菩提寺に確認してください。
向かう先は一つでなくていいと私は思っています。

まとめ

仏壇は本尊を祀る「場」、位牌は故人の「依代」で、役割はまったく別のものです。
だから「仏壇だけ」も「位牌だけ」もあり得ますし、どちらもなくても供養はできます。
決める順番は、宗派と菩提寺、家族の気持ち、住環境と引き継ぎの3つです。

おまいりは、カルチャーだと私は思っています。
形式より、故人に想いが届く形を家族で選ぶこと。
その手がかりに、この記事がなれば幸いです。

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