お彼岸とは?意味・由来とお盆との違いをやさしく解説
9月に入ると、goennにも「お彼岸っていつからでしたっけ」「お盆に帰省したばかりなのに、また行くものですか」という声が届きます。
お彼岸は年に2回もあるのに、お盆ほど中身を説明できる人は多くありません。
株式会社goennで、お墓や納骨堂を探す人と寺院や石材店をつなぐ仕事をしている𫝆橋計貴(いまはし かずき)です。
寺院や石材店の方と話していると、お彼岸は「意味を聞かれると答えにくい行事」の代表格だと感じます。
この記事では、お彼岸の意味と2026年の日程、日本にしかない行事になった理由、お盆との違い、何をするか、そして行けないときの考え方を順に整理します。
【この記事の結論】お彼岸の意味・お盆との違いがわかる5つのポイント
- お彼岸は、春分・秋分を中心とする「各7日間」に、先祖を供養し、仏教の教えや自分の生き方を見つめ直す行事です。
- お盆が「ご先祖を家に迎える行事」なのに対し、お彼岸は「こちらからお参りして供養する期間」と捉えると違いがわかります。
- 2026年のお彼岸は「春が3月17日〜23日、秋が9月20日〜26日」で、中日はそれぞれ3月20日・9月23日です。
- 家庭では「お墓参り・仏壇の掃除・お供え」を行い、春はぼたもち、秋はおはぎを供えるのが一般的です。
- お墓参りは「期間中の都合のよい日」でよく、行けない場合は日程をずらしたり、自宅で手を合わせたりしても構いません。

お彼岸とは?意味は「悟りの世界」、期間は春分・秋分を中日にした7日間
「彼岸」は此岸の向こう岸。サンスクリット語「パーラミター」の訳語から
お彼岸とは、春分の日と秋分の日を中心にした7日間のことで、この期間に行う先祖供養や法要をまとめて「お彼岸」と呼んでいます。
「彼岸(ひがん)」は、私たちが生きているこちら側の岸「此岸(しがん)」に対する「向こう岸」という意味です。
仏教では、煩悩を離れた悟りの世界を指します。
語源はサンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」で、漢訳の「到彼岸(とうひがん)」を略した言葉です。
この期間に寺院で営まれる法要を「彼岸会(ひがんえ)」といいます。
「向こう岸に渡る」という言葉のイメージが、お墓の前で手を合わせる意味を一番わかりやすく教えてくれると、私は思っています。
春彼岸・秋彼岸はいつ?中日・彼岸入り・彼岸明けの数え方(2026年秋は9月20日〜26日)
お彼岸は年に2回あります。
春分の日と秋分の日をそれぞれ「中日(ちゅうにち)」と呼び、その前後3日ずつを合わせた7日間が期間です。
初日を「彼岸入り」、最終日を「彼岸明け」といいます。
| 区分 | 2026年の期間 | 中日 |
|---|---|---|
| 春彼岸 | 3月17日(火)〜3月23日(月) | 3月20日(金)春分の日 |
| 秋彼岸 | 9月20日(日)〜9月26日(土) | 9月23日(水)秋分の日 |
この中日と彼岸入りの日付は、国立天文台が公表した令和8年(2026)暦要項に載っています。
春分・秋分の日は法律に月日が書かれておらず、前の年の2月に国立天文台が官報で公表して初めて確定します。
年によって日にちが変わるのは、季節がひと巡りする時間が365日ちょうどではなく、うるう年による調整もあるためです。
秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日(国民の祝日に関する法律)
内閣府の各「国民の祝日」についてによると、秋分の日の趣旨は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことです。
春分の日のほうは「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされています。
同じお彼岸の中日でも、春と秋で法律上の趣旨が違うことは、あまり知られていません。
だからこそ、秋のお墓参りは「宗教に詳しくなくても自然にできる行事」として残ってきたのだと私は受け止めています。
お彼岸の由来とは?日本にしかない行事が生まれた3つの理由
太陽が真東から昇り真西に沈む日。西方浄土と結びついた春分・秋分
春分と秋分は、太陽がほぼ真東から昇ってほぼ真西に沈む日です。
仏教では、迷いの世界から悟りへ向かう歩みを「東から西へ動く太陽」や「大きな川を渡ること」にたとえてきました。
浄土真宗本願寺派の「お彼岸」とはでは、春分と秋分を「阿弥陀さまの西方浄土を願生することに最も適した仏道修行の時節」と説明しています。
記録上の始まりは806年。朝廷の行事から江戸時代の「お墓参り」へ
彼岸会はインドや中国にはなく、日本で生まれた行事です。
曹洞宗の公式サイトも、日本で特に盛んに行われる行事と説明しています。
聖徳太子のころに始まったともいわれますが、記録として残る最初は806年(大同元年)です。
世界大百科事典には、この年を最初として平安時代初期には春秋7日間の仏事が恒例になっていたことが『日本後紀』『延喜式』に見えるものの、当時「彼岸会」と呼ばれていたかは不明、とあります。
非業の死を遂げた早良親王(さわらしんのう)の霊を慰めるため、全国の国分寺で春と秋に7日間、経を読ませたのが最初とされています。
庶民がお墓参りをする形で広まったのは江戸時代で、春分・秋分を中日とする今の数え方に整ったのは1844年の天保暦からです。
「日願」説と農事暦。仏教伝来前からあった太陽への祈り
仏教が入ってくる前から、日本には太陽を拝む習俗がありました。
春分と秋分は、種まきや収穫の節目でもありました。
「彼岸」は太陽に願う「日願(ひがん)」でもある、という説もあります。
お彼岸は日本独特の祖先崇拝の習俗と仏教の彼岸会が結びついた行事です。
輸入された仏教の言葉に、もともとあった暮らしの節目が重なって、日本だけの行事になったわけです。
おまいりは、カルチャーだと私は思っています。
お彼岸とお盆の違いは?「こちらから会いに行く」か「家に迎える」かで整理する
一目でわかる比較表(時期・回数・由来・ご先祖の位置づけ・やること・お供え)
| 項目 | お彼岸 | お盆 |
|---|---|---|
| 時期 | 春分・秋分を中日とする各7日間 | 8月13日〜16日が主流(地域により7月や旧暦) |
| 回数 | 年2回 | 年1回 |
| 由来 | 到彼岸(悟りの世界)。日本で生まれた行事 | 盂蘭盆会(うらぼんえ)。インド・中国由来の要素を持つ |
| ご先祖の位置づけ | こちらから出向いて供養する | 家に帰ってくると考えて迎える |
| 独自の行事 | 彼岸会の法要、六波羅蜜の実践 | 迎え火・送り火、盆提灯、精霊棚、精霊馬 |
| 共通すること | お墓参り、仏壇の掃除、お供え、法要 | 同じ |
| 代表的な食べ物 | ぼたもち(春)、おはぎ(秋) | そうめん、精進料理など地域差が大きい |
| 祝日 | 春分の日・秋分の日が祝日 | 祝日ではない |
お盆の時期が地域で違う理由はお盆はなぜ8月?で、精霊馬の意味は精霊馬とは?で詳しく書いています。
お盆は「帰ってくる」、お彼岸は「こちらから会いに行く」
一言で整理すると、お盆はご先祖を家に迎える行事で、お彼岸はこちらから会いに行く期間です。
私はお墓を「故人に会いに行くための入口」だと考えています。
「お盆に帰省したから、お彼岸は行かなくてもいいですか」という相談を、goennでもよく受けます。
役割が違うので、どちらが大事という比べ方はしなくていい、と私は答えています。
両方行ける人は両方、片方しか行けない人はその1回に想いを込める。
それで十分です。
迎え火・送り火・精霊馬がお彼岸にはない理由
お盆の迎え火や送り火、盆提灯、精霊棚、精霊馬は、すべて「霊を迎え、もてなし、送る」ための道具です。
お彼岸はこちらから出向く側なので、迎える道具は基本的に使いません。
浄土真宗では亡くなった人はすぐに浄土に往生すると考えるため、お盆でも迎え火や精霊棚を用いません。
本願寺派ではお盆を「歓喜会(かんぎえ)」、お彼岸の法要を「讃仏会(さんぶつえ)」と呼び、仏の教えを聞いて感謝する期間と位置づけています。
宗派で考え方が変わる部分なので、気になる方は菩提寺に聞いてみてください。
お彼岸には何をする?お墓参り・仏壇・お供え・六波羅蜜の基本
お墓参りと仏壇の掃除。行く日は期間中ならいつでもよい
お彼岸に家庭ですることは、おおむね次の通りです。
- お墓の掃除とお参り
- 仏壇の掃除と花の入れ替え
- ぼたもちやおはぎなどのお供え
行く日に決まりはなく、7日間のうち都合のつく日で構いません。
中日がよいといわれるのは、祝日で行きやすいことに加えて、太陽の位置から「向こう岸が最も近づく日」とされてきたからです。
全国石製品協同組合が2026年8月に発表した500人調査では、お墓参りをする人のうち68.5%がお盆に、47.8%がお彼岸に行くと答えています。
避けたほうがよい日や服装などのマナーは、お墓参りの時期はいつが最適?にまとめています。
ぼたもちとおはぎの違い。彼岸団子と宗派による供え方
ぼたもちとおはぎは、中身はほぼ同じ食べ物です。
春のお彼岸は牡丹の花にちなんで「ぼたもち」、秋は萩の花にちなんで「おはぎ」と呼び分けてきました。
こしあんか粒あんか、という違いは地域や店によって諸説あり、今は季節感も薄れてどちらの呼び方でも通じます。
供え方は宗派や地域で違います。
一例として曹洞宗の年中行事のページでは、彼岸入りに団子を山形に供え、中日におはぎやぼたもち、彼岸明けに再び団子を供えると紹介されています。
六波羅蜜。お彼岸は「自分を整える1週間」でもある
お彼岸は先祖のためだけの期間ではありません。
彼岸、つまり悟りの岸に渡るための6つの修行を「六波羅蜜(ろくはらみつ)」といい、曹洞宗ではお彼岸の1週間をこれを実践する期間と位置づけています。
- 布施(ふせ)は、見返りを求めずに施すこと
- 持戒(じかい)は、生活の決まりを守ること
- 忍辱(にんにく)は、苦しいことに耐えて恨まないこと
- 精進(しょうじん)は、努力を続けること
- 禅定(ぜんじょう)は、心を静めて集中すること
- 智慧(ちえ)は、物事を正しく見ること
宗教的な修行と構えなくても大丈夫です。
1週間だけ人に優しくする、先送りしていたことを片づける、くらいの受け止め方でいいと私は思っています。
私自身、広告の仕事をしていたころから、大事なプレゼンの前には神社に行って頭を冷やす習慣がありました。
お彼岸のお墓参りに行けないとき、実家に仏壇がないときはどうする?
「行けない」は珍しくない。期間にこだわらず、前後にずらしてよい
株式会社プラネットが2023年に4,000人に行った調査では、お墓参りに行かない理由の最多は「遠方にあって行く時間がない」で27.3%でした。
全国石製品協同組合の調査でも「行きたいが事情があって行けていない」人が5.4%います。
お彼岸の期間中に行かなければならない、という決まりはありません。
前後の週末にずらす、春か秋のどちらかにする、という選び方で構いません。
「行かないと罰が当たるのでは」と不安になる方もいますが、一般的には期間外のお参りでも問題ないとされています。
自宅でできること。仏壇がなくても手を合わせる場所はつくれる
仏壇があれば、掃除をして花を替え、おはぎや故人の好物を供えるだけで十分な供養になります。
仏壇がない家でも、写真の前に小さな棚をつくって花を置けば、手を合わせる場所はできます。
仏壇を置くかどうかの考え方は仏壇はいらない?で詳しく書きました。
goennには、実家の仏壇を処分したあとに「お彼岸に何をすればいいか分からなくなった」という相談が届きます。
親戚に自分の分もお参りを頼む、お墓参りの代行サービスを使う、寺院のオンライン法要に参加する、という方法もあります。
選択肢は、思っているより多いですよ。
大事なのは形ではなく、想いが届くかどうか
お彼岸は、向こう岸にいる人に、こちらから会いに行く日です。
会いに行けない年があっても、その人を思い出す時間をつくれば、それはもうお彼岸だと私は思っています。
大事なのは、形ではなく、想いが届くかどうかです。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年の秋のお彼岸はいつからいつまでですか?
2026年の秋彼岸は9月20日(日)から9月26日(土)までの7日間で、中日は秋分の日の9月23日(水)です。
Q. お彼岸とお盆はどちらが大事ですか?両方お墓参りに行くべきですか?
役割が違うので、優劣はありません。
両方行ける方は両方、難しければどちらか一方で構いません。
Q. お彼岸にもご先祖様は帰ってくるのですか?
一般的には、お彼岸は「帰ってくる」期間ではなく、あの世とこの世が最も近づく時期にこちらから出向いて供養する期間とされています。
そのため、迎え火や送り火は一般的には行いませんが、地域や宗派によっては、お彼岸にも迎え火を焚くところがあります。
Q. お彼岸は日本だけの行事ですか?
はい、彼岸会はインドや中国にはなく、日本で始まった行事です。
仏教の「到彼岸」という考え方と、日本に古くからある先祖供養や太陽への信仰が結びついたと考えられています。
Q. おはぎとぼたもちは何が違うのですか?
中身はほぼ同じです。
春のお彼岸は牡丹にちなんで「ぼたもち」、秋は萩にちなんで「おはぎ」と呼び分けるのが由来です。
Q. お彼岸のお墓参りに行けない場合はどうすればいいですか?
期間中に行かなければならない決まりはありません。
前後の週末にずらす、自宅で手を合わせる、親戚に頼む、代行サービスを使う、といった選択肢があります。
Q. お彼岸に法要やお布施は必要ですか?
菩提寺で彼岸会の合同法要が行われることが多く、参加は任意です。
お布施は数千円から1万円程度が目安とされていますが、寺院によって違うので、直接確認するのが確実です。
まとめ
お彼岸は、悟りの世界「彼岸」に由来する日本独自の行事で、春分・秋分を中日にした7日間です。
お盆がご先祖を迎える行事なら、お彼岸はこちらから会いに行く期間です。
行けない年があっても、形より想いが届くかどうかが大事です。
まずは今年の秋彼岸、9月20日から26日のどこかで、手を合わせる時間を10分つくってみてください。
実家のお墓が遠くて今後の供養に迷っている方は、goennのお墓検索で地域と種類から比べられます。
執筆・監修:𫝆橋計貴(株式会社goenn 代表取締役)
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