仏壇じまいとは?処分の流れ・費用・閉眼供養までを解説
実家の仏壇を、そろそろ手放さなければいけない。
でも「捨てる」という言葉が、どうしても引っかかる。
そんな方は多いはずです。
株式会社goenn代表の𫝆橋計貴(いまはし かずき)です。
事業を通じて、寺院や石材店、納骨堂の現場に関わっています。
先に結論を言うと、仏壇じまいは捨てる手続きではありません。
供養で区切りをつけて見送り、そのあとの「手を合わせる場所」を決め直す作業です。
この記事では、流れ、閉眼供養、費用、注意点を順に整理します。
【この記事の結論】仏壇じまいの手順・費用・供養の5つのポイント
- 仏壇じまいは「家族の同意→宗派の確認→中身の仕分け→供養→引き取り先の決定→搬出・処分」の6ステップで進めます。
- 費用は「お布施・搬出運搬・本体の処分」の合計で考え、仏壇の大きさや依頼先によっては「10万円超」になる場合もあります。
- 供養の方法は宗派で異なり、浄土真宗では「魂抜き」ではなく「遷仏法要・遷座法要」を行います。
- 相談先はまず「菩提寺」で、お付き合いのあるお寺がなければ仏壇店や僧侶手配サービスにも相談できます。
- 処分前に「位牌・本尊・遺骨の行き先」と、その後に手を合わせる場所を家族で決めておきます。

仏壇じまいとは?「捨てる」ではなく「供養して見送る」手続きの全体像
仏壇じまいとは、閉眼供養をしてから仏壇を手放すこと
仏壇じまいとは、宗派に応じて閉眼供養(へいがんくよう)や遷仏法要などを勤め、位牌や本尊、仏具を仕分けたうえで、仏壇本体を引き取りや処分に出す一連の流れのことです。
閉眼供養は「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。
仏壇はもともと、宗派の本尊を祀るための小さなお寺です(詳しくは仏壇とは?何のために家に置くのか、意味と役割をやさしく解説)。
おまいりは、カルチャーだと私は思っています。
その入口だった仏壇をどう見送るか、家族で答えを出す時間が仏壇じまいです。
なぜ仏壇じまいを考えるのか。住まいの変化と「継ぐ人がいない」現実
goennに寄せられる相談で目立つのは、墓じまいや実家の片付けの途中で仏壇の話が出てくるパターンです。
「お墓は永代供養に移すと決めたけれど、仏壇は誰も引き取れない」という声を、事業を通じて何度も聞いてきました。
置くかどうかで迷っている段階なら、仏壇はいらない?置かない家庭が増える理由と後悔しない考え方を先に読んでみてください。
仏壇じまいのタイミング。決まった時期はなく、家族と菩提寺に相談して決める
仏壇じまいの時期は、家族と菩提寺で相談して決めます。
きっかけとして多いのは、墓じまい、実家の売却や解体、引っ越し、施設への入所、仏壇の買い替えです。
四十九日前後や法要の直前を避けるという宗派共通の決まりは確認できず、真宗興正派の善照寺は「いつでもよい」と説明しています。
法要が控えているなら、仏壇をいつまで使うか菩提寺と相談してください。
墓じまいと同時に進め、墓地や納骨堂に納めた遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す場合は、改葬許可の手続きが別に必要です。
仏壇じまいの流れ6ステップ。家族の同意から搬出・処分まで
ステップ1〜2:家族・親族の同意を取り、宗派と菩提寺を確認する
最初にやるのは相談の順番決めで、仏壇を守ってきた本人(多くは親)、兄弟姉妹、近い親戚、そして菩提寺の順に声をかけます。
仏壇などの祭具は民法第897条の「祭祀財産」として通常の遺産とは別に承継され、承継者は故人の指定、慣習、家庭裁判所の順で決まります。
家に置いてあるというだけで処分を決めず、承継者を確認したうえで家族に相談してください。
相談なしに進めて親戚とこじれたケースを、現場では本当によく聞きます。
宗派が分からないときは、位牌や過去帳に記された戒名・法名・法号が手がかりです。
浄土真宗は「釋」、浄土宗は「誉」、日蓮宗は「日」を含む法号が目印で、真言宗の位牌は戒名の上に梵字「ア」などを付けます。
梵字は他宗派でも使われるため、文字だけで断定せず寺院に確認してください。
ステップ3:仏壇の中身を仕分ける。位牌・本尊・仏具・過去帳・貴重品
| 中身 | 主な行き先 |
|---|---|
| 本尊(仏像・掛け軸) | 菩提寺に相談。返納・お焚き上げ・新しい仏壇へ |
| 位牌 | 引き継ぐ・繰出位牌にまとめる・寺に預ける・お焚き上げ |
| 仏具(香炉・りん・花立てなど) | 新しい仏壇で使う・仏壇と一緒に引き取り |
| 過去帳・貴重品・写真 | 手元に残す。処分前に必ず引き出しを確認 |
はせがわは、引き出しに通帳や印鑑が入っていることがまれにあると注意しています。
事業者として伝えておきたいのは、仏壇の下段に骨壺が置かれたままというケースが現場では珍しくないことです。
仏壇じまいの前に、遺骨の行き先を家族で決めておいてください。
位牌の扱いは仏壇と位牌の違いとは?それぞれの意味と本当に必要かを考えるで詳しく書いています。
ステップ4〜6:閉眼供養を行い、本体の引き取り先を決め、搬出・処分する
お勤めを終えたら、本尊・位牌の行き先を決め、仏壇本体の引き取りに進みます。
引き取り先は、菩提寺、仏壇店、仏壇供養の専門業者、自治体の粗大ごみの4つから選びます。
搬出の前に仏壇の高さ・幅・奥行きを測り、玄関や階段の幅を確認しておきましょう。
閉眼供養(魂抜き)とは?依頼先・お布施・当日の流れと宗派による違い
閉眼供養とは、開眼供養で迎えた本尊・位牌を「もとの木や紙に戻す」お勤め
閉眼供養は、仏壇や本尊・位牌を移したり手放したりする際に行うお勤めです。
「開眼供養(魂入れ)」と対で、魂を抜いてもとの木や紙に戻すと説明されることが多いですが、意味づけは宗派・寺院で異なります。
法律上の義務ではありません。
「やらないと罰が当たる」と言うつもりもありません。
ただ、開眼供養で迎えたものを何もせずに手放すことに、引っかかりを感じる方は多いです。
浄土真宗は「魂抜き」をしない。代わりに行う「遷仏法要(遷座法要)」の意味
浄土真宗(本願寺派・大谷派など)は、仏壇や位牌に魂が宿るという考え方をしません。
閉眼供養ではなく、本尊の阿弥陀如来に別の場所へお移りいただく「遷仏法要(せんぶつほうよう)」または「遷座法要(せんざほうよう)」を勤めます。
浄土真宗本願寺派の正宣寺は遷仏式の解説で、お性根や魂を抜く儀式ではないため閉眼法要や魂抜きとは呼ばない、という趣旨を説明しています。
| 宗派 | 仏壇を手放すときのお勤め |
|---|---|
| 浄土真宗(本願寺派・大谷派など) | 遷仏法要・遷座法要 |
| 浄土宗・真言宗・曹洞宗・日蓮宗など | 閉眼供養など。呼称や意味づけは寺院に確認 |
同じ宗派でも住職の方針で扱いが違うことがあるので、本尊の預かりや返納も含めて菩提寺に確認してください。
閉眼供養の依頼先と流れ。菩提寺がない場合は僧侶手配サービスや仏壇店経由も
依頼先の基本は菩提寺です。
菩提寺がない、檀家ではない場合は、仏壇店の供養付き引き取り、葬儀社、僧侶手配サービスが使えます。
宗派を指定でき、檀家になる必要のない僧侶手配サービスもあります(対応宗派・地域・日程は要確認)。
当日は仏壇の掃除、お供え、読経と焼香という流れで、所要時間を30分から1時間ほどとし、遅くとも2週間前までの連絡がベストです。
服装は黒や紺の平服が目安です。
菩提寺との関係が薄いことに引け目を感じて動けない方が多いのですが、相談先は思っているより多いですよ。
お布施の目安と渡し方。出典によって幅があり「お気持ち」の寺院もある
閉眼供養のお布施は、結壇が自社調べで1万〜5万円、株式会社家族葬が3万〜10万円と紹介し、寺院側では東海寺が2万円以上、善照寺は決まった額を設けていません。
全国共通の相場はないので、依頼先に目安や御車代の扱いを確認してください。
表書きは浄土真宗でも「御布施」で、包み方はお布施の正しい書き方と金額相場|失敗しない基礎知識完全ガイドを参考にしてください。
仏壇じまいの費用相場。方法別の総額と「お布施・搬出・処分」の内訳
費用は「閉眼供養のお布施」「搬出・運搬」「本体の処分」の3つに分かれる
仏壇じまいの費用は、お勤めのお布施、搬出・運搬、仏壇本体の処分費に分けて確認します。
供養や搬出込みのプランもあるので、見積もりの内訳を確かめてください。
総額は仏壇の大きさや依頼先で変わり、10万円を超える場合もあります。
方法別の費用比較表。菩提寺・仏壇店・専門業者・自治体の4択
| 依頼先 | 費用の目安 | 供養 | 搬出 |
|---|---|---|---|
| 菩提寺 | はせがわの解説では1万〜10万円 | 内容・金額を確認 | 可否を確認 |
| 仏壇店 | はせがわの解説では2万〜8万円 | 合同供養か閉眼供養かを確認 | 範囲を確認 |
| 仏壇供養の専門業者 | 個別見積もり | 合同・個別を確認 | 範囲を確認 |
| 自治体の粗大ごみ | 大阪市1,000円、名古屋市2,000円(2026年10月〜) | 自分で手配 | 自分で運ぶ |
参考として、はせがわは買い替えを伴わない引き取りを19,800円〜77,000円(税込、合同供養込み・閉眼供養別)、大野屋は高さ60cm未満の訪問引き取り・供養を55,000円(税込、対象地域あり)と公表しています(いずれも2026年9月確認)。
仏具類やサイズ、重機を使う搬出などは別料金になるので、見積もりで確認してください。
自治体の粗大ごみに出す場合の実際。大阪市1,000円、名古屋市は2026年10月から2,000円
仏壇を受け付ける自治体では、分別・申し込み・搬出のルールに従って粗大ごみに出せます。
- 大阪市の手数料表では仏壇1点1,000円で、仏壇の欄にサイズ別料金は記載されていません
- 名古屋市の手数料例では仏壇1点1,000円ですが、令和8年(2026年)10月1日以降の収集分から2,000円に変わります
- 熊本市は処理施設への持ち込みが10kgまでごとに150円で、仏壇は解体して金属・ガラス・陶磁器などを外したものに限り受け入れています
受け付けない自治体やサイズ制限もあるので事前に確認し、お勤めは先に済ませておいてください。
収集車に積み込まれる光景に抵抗がないか、家族で話しておくことも大切です。
費用を抑える3つの考え方。買い替えとの同時依頼・小型化・合同供養
- 買い替えるなら同じ店に引き取りも相談する(買い替え時の割引料金を設ける店があります)
- 寸法を測って複数社に見積もりを取る
- 個別供養と合同供養の料金を比べる(大野屋の解説では合同1万〜5万円、個別5万〜10万円が目安)
ただ、安さだけで業者を選ぶと、次の章で書くトラブルにつながるおそれがあります。
仏壇じまいで失敗しないために。業者選びの注意点と、そのあとの「手を合わせる場所」
注意点1:「無料回収」「積み放題」の業者は、一般廃棄物処理業の許可を確認する
国民生活センターは2022年11月2日、不用品回収サービスのトラブルについて注意喚起を出しました。
不用品回収サービス全般の相談件数は2018年度の1,354件から2021年度には2,231件に増えています。
「軽トラックパック7,000円」などの広告を見て申し込み、コースは現地で判断すると言われた相談者が、作業後に25万円を請求された事例も紹介されています。
家庭から出るごみの収集運搬には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可か委託が必要です。
許可業者かを確認し、複数社から見積もりを取り、事前に聞いていない高額請求はその場で支払わず相談してください。
困ったときの窓口は消費者ホットライン188です。
仏壇店を選ぶなら、仏壇公正取引協議会の会員かどうかも目安のひとつです。
注意点2:家族に相談せず進めない。「処分」ではなく「見送り方の相談」として切り出す
現場で聞くトラブルの多くは、業者ではなく家族の間で起きます。
親が反対する本音は「自分のやってきたことを否定された気がする」であることが多いです。
だからこそ、切り出し方を変えてみてください。
「仏壇を処分したい」ではなく、「仏壇をどう見送るか、一緒に考えたい」。
「閉眼供養の日は、みんなで集まろう」。
こう伝えるだけで、話の空気は変わります。
注意点3:仏壇じまいのあとに「誰が・どこで・どう手を合わせるか」を先に決めておく
仏壇がなくなったあと、手を合わせる場所をどうするか。
これを先に決めておくと、仏壇じまいへの迷いがかなり減ります。
ミニ仏壇を置く、位牌と写真だけを棚に安置する、位牌を寺に預ける、お墓や納骨堂を「会いに行く場所」にする、といった選択肢があります。
仏壇の中に骨壺が残っていた場合は、お墓や納骨堂への納骨、永代供養、手元供養のいずれかを家族で決めます。
すぐに決められないなら、寺院や納骨堂に一時的に預ける「預骨」という選択肢もあります。
当社goennではtaguruの預骨サービスを提供しており、遺骨を送る「おくるだけ」と、スタッフが自宅までお迎えに伺う「おむかえ」の2つの方法から選べます。
𫝆橋からの提案:仏壇じまいは「手放す」より「引き継ぎ方を変える」と考える
仏壇じまいを考える方の多くは、供養をやめたいわけではありません。
今の暮らしで続けられる形にしたいだけです。
だからこそ、何かひとつ「残すもの」を決めてみてください。
大事なのは、形ではなく、想いが届くかどうかです。
よくある質問(FAQ)
Q. 仏壇じまいに閉眼供養(魂抜き)は絶対に必要ですか?
法律上の義務はありません。
ただ多くの宗派では区切りの儀式として行うのが一般的で、浄土真宗は代わりに遷仏法要(遷座法要)を勤めます。
Q. 仏壇じまいの費用は総額いくらくらいかかりますか?
お布施、搬出・運搬、処分費の合計で考え、依頼先や仏壇のサイズによっては10万円を超えます。
自治体の粗大ごみなら大阪市は1,000円ですが、お勤めと運び出しは自分で手配します。
Q. 仏壇を粗大ごみに出しても罰は当たりませんか?
大阪市や名古屋市の公式手数料表には「仏壇」が載っており、自治体のルールに従って出せます。
宗教上の受け止め方は宗派や家族で異なるので、気になる場合は菩提寺に相談してください。
Q. 浄土真宗の仏壇じまいは何が違いますか?
閉眼供養ではなく「遷仏法要」または「遷座法要」を勤め、本尊の扱いは寺院で異なるので菩提寺に確認してください。
Q. 菩提寺がなく、宗派も分からないのですが仏壇じまいはできますか?
できます。
檀家以外の依頼に対応する寺院や、仏壇店・葬儀社・僧侶手配サービスに「宗派不明」と伝えて相談し、対応の可否を確認してください。
Q. 仏壇じまいのあと、位牌や本尊はどうすればいいですか?
位牌は「引き継ぐ」「繰出位牌にまとめる」「寺に預ける」「お焚き上げ」の4つ、本尊は菩提寺に相談して返納・お焚き上げ・新しい仏壇へ移すのいずれかです。
Q. 仏壇の中に遺骨(骨壺)が置いたままです。どうすればいいですか?
珍しいことではないので、仏壇じまいの前に遺骨の行き先(お墓、納骨堂、永代供養、手元供養)を家族で決めておきます。
決められない場合は「預骨」という方法もあります。
Q. 仏壇じまいはいつ行うのがいいですか?
決まった時期はなく、墓じまいや実家の売却、引っ越しなどに合わせて、家族と菩提寺で相談して決めます。
まとめ
仏壇じまいは、閉眼供養(浄土真宗は遷仏法要)で区切りをつけ、位牌・本尊・仏具を仕分けたうえで仏壇本体を手放す手続きです。
費用はお布施・搬出・処分の3つに分けて確認し、10万円を超える場合も想定しておきます。
失敗を避ける鍵は、無許可の業者を使わない、家族に相談せず進めない、処分後の手を合わせる場所を先に決めておく、の3つです。
まずは菩提寺か、お近くの仏壇店に「仏壇じまいを考えている」と一言相談してみてください。
お墓や納骨堂を「会いに行く場所」にするなら、goennのお墓検索で地域と種類から比べられます。
仏壇じまいは、供養をやめることではなく、手を合わせる形を今の暮らしに合わせて組み直すこと。
そう考えると、少しだけ気持ちが軽くなるはずです。
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