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お盆はなぜ8月?旧暦7月15日から月遅れ盆が生まれた理由

2026.08.12
2026.08.12

「お盆って、なんで8月なの?」

お子さんに聞かれて、言葉に詰まったことはありませんか。
株式会社goennでCPO(最高製品責任者)を務め、葬祭カウンセラーとして供養のご相談をお受けしている新原秀崇です。

お盆はもともと、旧暦7月15日を中心に行われてきました。
明治の改暦後、新暦の7月に行う地域、8月にひと月遅らせる地域、旧暦の日付を守る地域に分かれました。
お盆が8月に定着した経緯を、旧暦と改暦の関係からひもときます。

【この記事の結論】お盆が8月になった理由と時期の違い、4つのポイント

  • お盆が8月に行われるのは、もともとの「旧暦7月15日」に近い季節を守るためです。
  • 1873年の改暦後、新暦の7月からひと月遅らせた「月遅れ盆」が多くの地域に広がりました。
  • 新暦7月の農作業を避けやすかったことも、8月盆が全国に定着した理由の一つです。
  • お盆の時期は、東京などの7月13日〜16日、全国で多い8月13日〜16日、沖縄などの旧暦7月13日〜15日に分かれます。
お盆はなぜ8月?
お盆は旧暦7月15日の行事でした。明治の改暦後、季節感を保つため1か月遅らせた8月盆が全国の多くの地域に広まりました。

お盆はなぜ8月?結論は「旧暦7月15日」と明治の改暦にあります

先に結論からお伝えします。
お盆が8月なのは、もともと旧暦7月15日を中心とする行事だったからです。
8月に移るまでの流れは、次の3段階に整理できます。

  • もともとお盆は、旧暦7月15日を中心とする行事だった
  • 1873年(明治6年)から新暦が使われ、旧暦と新暦の日付にずれが生じた
  • 旧暦時代に近い季節で行うため、新暦で8月にひと月遅らせる地域が広がった

それぞれのポイントを、順番に見ていきましょう。

もともとお盆は「旧暦7月15日」の行事だった

旧暦は太陰太陽暦です。
月の満ち欠けに合わせてひと月を29日または30日とし、閏月を入れて季節とのずれを調整していました。
国立天文台 暦計算室の解説でも確認できます。

この暦で7月15日がお盆の中心でした。
旧暦7月15日を現在の暦に置き換えた日付は、年によって変わります。
「旧暦7月15日は新暦8月15日」と決まっているわけではありません。

現在は13日に先祖を迎え、15日または16日に送る形がよくみられます。
期間や作法は地域によって異なります。

答えを一言でいうと「暦が変わってもお盆の季節を守ったから」

新暦の7月では旧暦時代より季節が早くなります。
そこで新暦の7月15日からひと月遅らせ、8月15日前後に行う地域が広がりました。
これが月遅れ盆です。
旧暦の日付を厳密に換算したものではなく、季節を大きく動かさないための現実的な日取りでした。

お盆の由来とは?旧暦7月15日に行われてきた盂蘭盆会

では、そもそもなぜ「7月15日」だったのか。
仏教行事の盂蘭盆会(うらぼんえ)は、現在のお盆の源流の一つです。
現在のお盆は、盂蘭盆会と日本の祖霊信仰、地域の民俗が結びついて今の形になったと考えられています。

盂蘭盆会(うらぼんえ)と目連の伝説

「盂蘭盆」の語源には諸説があります。
サンスクリット語の音写で「逆さに吊るされたような苦しみ」を表すという説明は広く知られています。
ただし、この説を再検討する辛嶋静志氏の論文もあり、学術的に確定した語源ではありません。

5世紀ごろに中国で成立したとみられる『盂蘭盆経』には、釈迦の弟子である目連が、餓鬼道に落ちた母を救う話が描かれています。
目連は釈迦の教えに従い、僧たちが雨期の修行である安居を終える7月15日に、僧団へ飲食を供養しました。
この説話が、7月15日に行う盂蘭盆会の根拠となります。

奈良文化財研究所 飛鳥資料館によると、『日本書紀』には606年(推古天皇14年)、寺ごとに4月8日と7月15日に斎を設けたという記録があります。
これは盂蘭盆会の始まりとされる記録です。

「盂蘭盆会」の名称が明記されるのは657年の記事で、659年には京内の諸寺で盂蘭盆経を講じさせたとあります。
奈良時代には宮中の恒例行事になりました。

旧暦7月15日は「満月の夜」だった

太陰太陽暦では、新月を含む日を1日とするため、15日はほぼ満月にあたります。
ただし、15日と天文学上の満月が必ず一致するわけではありません。
この点は国立天文台の解説でも確認できます。

お盆が現在の祖先供養の形になった背景には、仏教の盂蘭盆会と日本の祖霊信仰が結びついたとする見方があります。
仏教伝来前から現在と同じ盆行事があったとまで断定できる記録はありません。

明治の改暦でお盆が7月盆と8月盆に分かれた経緯

千年以上も旧暦7月15日に行われてきたお盆は、明治時代に大きな転機を迎えます。

明治5年の改暦で「7月15日」の季節が変わった

明治政府は1872年(明治5年)11月9日、太陰太陽暦を廃して太陽暦を採用する詔書を発しました。
旧暦の明治5年12月3日を、新暦の明治6年1月1日として1873年から施行したのです。
改暦の経緯は国立公文書館の解説ページで確認できます。

この改暦によって、同じ「7月15日」でも季節がずれました。
旧暦と新暦の差は年によって変わるため、常にちょうどひと月差とは限りません。

「7月15日」の季節感
旧暦の7月15日新暦での日付は毎年変わる
新暦の7月15日毎年7月15日に固定される

同じ「7月15日」という表記でも、旧暦と新暦では実際の時期が異なります。

東京などでは新暦7月の盆が定着した

改暦後、旧暦の「7月」を新暦の7月に当てはめ、7月13日から16日ごろに盆行事を行う地域が生まれました。
代表的なのが東京とその周辺です。
国立国会図書館のレファレンス協同データベースでも、東京市内では早い時期から年中行事を新暦で行うようになったことが、関連文献とともに紹介されています。

ただし、政府のお膝元だったことだけを、東京の7月盆の直接的な原因とする根拠は確認できません。
新暦の浸透の速さや、地域ごとの暮らしの違いが重なったとみるのが無難です。
また、同じ都道府県の中でも、家や寺院によって時期が異なります。

月遅れ盆とは?農作業も定着を後押しした

多くの地域では、新暦7月ではなく、8月13日から16日ごろに盆行事を行うようになりました。
新暦の同じ日付をひと月遅らせるため、月遅れ盆と呼ばれます。

新暦7月と農作業が重なる地域もあった

月遅れ盆が広がった理由として、旧暦の季節に近づけることに加え、農作業との関係が指摘されています。
新暦7月中旬は農作業と重なる地域があり、8月または旧暦で行うほうが地域の暮らしに合いました。

国立国会図書館のレファレンス協同データベースでも、『祭・芸能・行事大辞典』の説明として、稲作労働などとの関係で農村部の盆が8月に分かれたと紹介されています。

農作業の時期は、作物や地域で異なります。
「7月は全国どこでも最も忙しい」「8月になればどの農家も暇になる」という単純な話ではありません。
農作業は、月遅れ盆が定着した背景の一つです。

1か月遅らせた「月遅れ盆」が全国の主流になった

こうして、新暦の8月13日から16日ごろに行う月遅れ盆が、全国の多くの地域に定着しました。

また、8月の月遅れ盆を日常的に「旧盆」と呼ぶ例もあります。
ただし、新暦8月に固定する月遅れ盆と、旧暦7月に合わせて毎年日付が動く旧暦盆は、厳密には別の日取りです。

ちなみに、きゅうりとなすで作るお盆のお供えについては精霊馬とは?きゅうり・なすの意味と地域で違うお盆のお迎えで詳しくご紹介しています。
あわせてお読みいただくと、お盆の風習への理解がぐっと深まります。

7月盆・8月盆・旧暦盆はどの地域?自分の地域のお盆の調べ方

ここまでの経緯から、日本のお盆は大きく3つの型に分かれています。
まずは早見表で全体像をつかんでください。

3種類のお盆と主な地域

種類時期主な地域
7月盆(新暦盆)新暦7月13日〜16日ごろ東京都の一部など
8月盆(月遅れ盆)新暦8月13日〜16日ごろ全国の多くの地域
旧暦盆旧暦7月13日〜15日ごろ沖縄や奄美の多くの地域など

地域の境界できれいに分かれるわけではなく、同じ都道府県や市町村の中でも、家や寺院によって時期が違う場合があります。
また、「新盆」は亡くなった方の四十九日後に初めて迎える「初盆」の意味でも使われます。
混同を避けるには、7月のお盆を「7月盆」または「新暦盆」と呼ぶとわかりやすいです。

沖縄では、今も旧暦の日付に合わせて盆行事を行うため、新暦での日付が毎年変わります。
沖縄県公文書館によると、旧暦7月13日のウンケー(お迎え)から15日のウークイ(お送り)までの3日間が旧盆です。2026年は8月25日から27日にあたります。
那覇市議会の令和8年行事予定表でも、8月25日がウンケー、27日がウークイと確認できます。

奄美市の「奄美の年中行事」にも、盆は旧暦7月13日から15日と記載されています。
ただし、奄美群島にも月遅れ盆を行う地域があり、全域が同じではありません。

自分の家のお盆を確認する方法

自分の地域がどの型なのか迷ったら、次の方法で確認できます。

  • 菩提寺(先祖代々のお墓がある寺院)や親族の年長者に聞く
  • 自治体や町内会の夏行事の日程を調べる
  • 地域の花屋やスーパーに盆提灯・お供え用品が並ぶ時期を見る
  • 地域に古くからある仏壇店や石材店、葬儀社に尋ねる

葬祭カウンセラーとしてご相談を受けるなかでも、転居や結婚をきっかけに「お盆の時期が実家と違って戸惑った」というお話はよく伺います。
いまお住まいの地域や嫁ぎ先の慣習に合わせて問題ありません。
都道府県単位の情報だけで決めるより、菩提寺や家の習わしを確かめるほうが確実です。

よくある質問

Q. お盆が8月13日〜16日なのはなぜですか?

お盆がもともと旧暦7月15日を中心とした行事だったためです。
明治の改暦後、旧暦に近い季節に行うため、新暦7月からひと月遅らせた8月の盆が多くの地域に定着しました。
13日に迎え、16日に送る形がよくみられますが、期間や作法は地域によって異なります。

Q. 東京のお盆はなぜ7月なのですか?

明治の改暦後、旧暦の7月という月名を新暦にもそのまま当てはめたためです。
東京とその周辺では、新暦の7月13日から16日ごろに行う盆が定着しました。
ただし、東京都内の全家庭が7月盆というわけではありません。

Q. 月遅れ盆とはなんですか?

新暦7月15日からひと月遅らせて、8月15日前後に行うお盆です。
旧暦時代に近い季節になることや、地域によっては新暦7月の農作業を避けやすかったことが、定着の背景にあります。

Q. 沖縄のお盆はなぜ毎年日にちが変わるのですか?

沖縄では、旧暦7月13日から15日に合わせて旧盆を行うからです。
旧暦の日付を新暦に置き換えると毎年日付が動きます。
2026年は8月25日から27日です。

Q. 7月盆と8月盆、どちらが正しいのですか?

どちらも、地域の中で受け継がれてきたお盆です。
改暦後に旧暦の盆をどの日取りで行うかが、地域ごとに分かれました。
菩提寺や家の慣習に合わせてください。

Q. 帰省先と自宅でお盆の時期が違う場合はどうすればいいですか?

お参りする場所の慣習に合わせるのが一般的です。
7月にご自宅で、8月に帰省先でと、両方の時期に手を合わせても差し支えありません。
時期が違っても、先祖を想う気持ちに変わりはありません。

まとめ

お盆が8月に行われるのは、旧暦7月15日の盆行事を、明治の改暦後も近い季節に続けるためでした。
新暦8月にひと月遅らせた日取りが暮らしに合い、多くの地域に定着したのです。

ただ、旧暦7月15日が毎年そのまま新暦8月15日になるわけではありません。
7月盆も、月遅れ盆も、旧暦盆も、改暦後の暮らしの中で受け継がれてきた形です。

今年のお盆は、なぜこの日取りなのかを家族に聞いてみてください。
同じ地域でも、家ごとに違う話が出てくるかもしれません。
その違いまで含めて、お盆の文化です。

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